神戸地裁平成23年9月8日判決(神戸拘置所で医師の診察を受けさせず凍死,国に賠償を命じる)
男性(死亡当時29歳)は,平成16年12月に児童福祉法違反罪で起訴され○○拘置所に勾留中の平成17年末ごろから体調が悪化し,平成18年1月7日顔や手足に凍傷を負った状態で死亡しました.男性の日記には「寒い」と書かれていました.
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◆ 判決
判決は,付近で氷点下を観測した死亡前の夜間,独居房の窓が開けられていたことなどから,男性が低体温症で昏睡状態になり,嘔吐物による窒息を反射的に防ぐ咳をすることができなかったとして,凍死と認定しました.
裁判所は,死亡前の21時間を記録した監視カメラの映像が証拠採用し,6日夕刑務官が男性が嘔吐しているのを確認している様子が監視カメラに映っていたことなどから「男性が嘔吐するなど異変があったのに,職員は医師の診察を受けさせるなどの措置を講じなかった」と過失を認め,国に約4360万円の支払いを命じました.
読売新聞「拘置所の独房で凍死、国に4360万円賠償命令」(平成23年9月8日)
産経関西「凍死認定 国に4400万円支払い命令 拘置所で被告死亡」(平成23年9月8日)
毎日新聞「神戸地裁:「被告凍死、拘置所の過失」国に賠償命令」(平成23年9月8日)
◆ コメント
身柄を拘束されている人の医療を受ける権利は,侵害されることがしばしばあります.
弁護士会の人権擁護委員会がたびたび勧告していますが一向に改まりません.
この判決を機会に改善に向かうことを期待いたします.
谷直樹
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