弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

臨床検査部が試薬の誤使用を医師らに伝えず

臨床検査部が試薬の誤使用を医師らに伝えず_b0206085_10522055.jpgmsn産経 「ずさん!腫瘍マーカー誤検査 がんセンター東病院で627件 厚労省聴取」(平成23年9月28日)は,次のとおり報じています.
 
「国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の臨床検査部で、平成21年までの4年間にわたり、がんの発生を確認する「腫瘍マーカー検査」に使う「試薬」に、本来使うべきものとは異なるものを使用、少なくとも627件の検査が行われていたことが27日、関係者への取材や内部資料から分かった。誤った検査結果は、そのまま医師に伝えられており、その後の患者に不必要な検査などを強いた可能性がある。厚生労働省は同病院から事情を聴き始めた。病院が立地し、調査権限を持つ柏市も立ち入り検査を検討している。

 関係者によると、臨床検査部内では試薬の誤使用を19年の時点で把握していたにもかかわらず、事態を公表することなく、さらに2年間同じ試薬を使用し続けていた。他にも、検査結果が正常か異常かを判断するための「基準値」が、複数にわたり誤って設定されて運用されていたことも判明。がん治療の拠点病院がずさんな検査をしていたことで、原因究明などが求められそうだ。

 腫瘍マーカーは、がん発生の有無を調べる検査の一つ。試薬は、がんの疑いのある人から採取した血液成分を検査する際に使う。

 今回の誤使用は、がん発生時に体内で増加する「βHCG」と呼ばれる成分を検出する腫瘍マーカー検査の過程で起きた。臨床検査部では、βHCGを単独検出する目的で行う検査にもかかわらず、βHCG以外の成分まで検出する試薬を使用。がんではない人にも「がんの疑いがある」とする検査結果が伝えられていた可能性があるという。

 19年に院内の他部から、他の検査の結果の不正確さの指摘があり、臨床検査部で調査した結果、試薬の誤使用を把握。17年から19年の時点までに計627件の誤使用が判明した。試薬名が似ていたことが誤使用の原因となったようだ。

 しかし、同部では問題発覚後も、医師らに誤使用の事実を伝えなかった。当時の関係者は「発覚によって騒ぎが大きくなるのを恐れた」と話している。誤使用は、病院が腫瘍マーカー検査を外部委託する21年まで継続していたという。

 臨床検査部ではこれ以外にも、一般的な血液検査をめぐり17~19年にかけて「基準値」の設定を誤って運用するなど、ずさんな検査を実施していた。

 がんセンターは「過去に東病院で問題があったことは聞いているが、具体的な内容は不明なので調査したい。現在は適正な検査態勢にある」と話している。」


臨床検査部がミス続きなのも問題ですが,それ以上に,臨床検査部が医師らに誤使用の事実を伝えなかったことは,大きな問題でしょう.騒ぎが大きくなるのを回避したいという感覚では,改善は難しいしないでしょう.
今後の調査に期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-28 10:46 | 医療事故・医療裁判