神戸市の病院,事故調査委員会報告(酸素と二酸化炭素の取り違え事故)
神戸市立医療センター中央市民病院のサイトに「CO2誤換気に関する事故調査委員会からの報告について」がアップされました.
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◆ 事案
神戸市立医療センター中央市民病院で,80代の男性が,腹部大動脈瘤切迫破裂のため,平成23年7月13日夜から14日未明にかけて緊急手術を受けました.
術後,集中治療室に運ぶ際,麻酔科医と看護師が二酸化炭素ボンベを酸素ボンベと取り違え,手動の人工呼吸器に数分間接続しました.その3分後に心停止となり,蘇生措置で自力呼吸が戻りましたが,20日に再び心停止となり心肺補助装置を外せない重篤な状態となりました.
現在は,重篤な状態を脱し会話ができる状態で,快方に向かっているとのことです.
◆ 事故調査報告書
病院外部の識者を含む事故調査委員会は,報告書をまとめ,9月30日に会見を開きました.
「病院の事故調査委員会は30日夜、会見を開き、そもそも手術室に酸素ボンベが準備されておらず、代わりに事故10日前に病院が移転したばかりで保管場所が決まっていなかった二酸化炭素ボンベがあったということです。
そして、看護師が二酸化炭素ボンベを酸素ボンベと間違って医師らに示すなど、初歩的なミスが重なったことが事故の原因と報告しました。」
(MBS毎日放送「神戸市民病院医療事故「初歩的ミス重なった」」(2011日10月1日))
「委員会は、事故の背景について「新病棟への移転直後で職員に変更点を徹底していなかった」と指摘。再発防止策として、ボンベを使わずに壁面に設置した配管から直接、二酸化炭素を供給する「中央配管」の活用などを提案した。」
(msn産経「安全管理不備が原因 市民病院医療ミス調査 神戸」(2011日10月1日)
◆ コメント
これは私が担当したものではありません.
医療事故には,病院に責任のあるものとないものがありますが,どちらにしても医療事故の原因究明,再発防止は,患者の安全と医療の向上のために必要です.
ミスを単にその医療従事者個人のせいにして一件落着としていては,医療事故はなくなりません.
単純ミスでも,必ず原因,背景があり,再発防止策はあるのです.
病院外部の委員を含む事故調査委員会による事故調査によって,このように医療事故の原因究明,背景事情解明がなされ,さらに再発防止策の提案までなされるのですから,多少の費用がかかっても,費用以上に得るものは大きいと思います.
医療版事故調の法制化が必要ですし,今の段階でも各病院で事故調査委員会設置に積極的に取り組んでほしいと思います.
谷直樹
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