薬害オンブズパースン会議,イレッサ下書き問題で3学会等に『見解』の作成経緯の調査を要望

◆ 要望書
薬害オンブズパースン会議は,平成23年10月20日,薬害イレッサ訴訟で,裁判所の和解勧告に対して見解を公表した日本臨床腫瘍学会,日本血液学会,日本肺癌学会と日本学術会議宛に「『肺がん治療薬イレッサの訴訟にかかる和解勧告に対する見解』の作成経緯の調査に関する要望書」を提出しました.
この学会の『見解』が,学会内での十分な議論と適切な手続を経て作成されたものであるのか,それとも不当な影響力ないし圧力が及んだ結果なのか,は議論のあるところですが,学会自身が調査し,明らかにする責任があるでしょう.

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◆ 要望の内容
厚生労働省からの働きかけを受けて学会名の見解を公表した日本臨床腫瘍学会,日本肺癌学会,日本血液学会に,事実関係を調査しその結果を公表するよう要望しています.
厚生労働省からの働きかけの具体的内容,働きかけを受けてから見解公表までの学会内の手続,学会及び関係学会員とアストラゼネカ社との利益相反の有無等について明らかにすることを求めています.
日本学術会議には,この問題の事実関係を調査し,その内容をふまえた上で,学術団体と行政や企業との関係の在り方について,日本学術会議としての見解を公表するよう要望しています.
◆ 下書き問題とは
薬害イレッサ訴訟を審理した東京地方裁判所と大阪地方裁判所は,平成23年1月7日,被告国及び被告アストラゼネカ社の責任を認め,被告らは被害者を救済する責任がある,とする和解勧告を行いました.
被告国(厚生労働省)は,関係学会に働きかけて,和解勧告を批判する内容の見解を公表するよう求めました.一部の学会に対しては,声明文の案(下書き)まで渡しました.
学会は,和解勧告を批判する内容の見解を公表し,そのことはマスコミでも大きく取り上げられ,世論に大きな影響を与えました.
厚生労働省の検証チームの調査報告書は,働きかけの結果「学会や個人から公表された見解自体に,不当な影響力ないし圧力が及んでいたとは認められない」としています.
これに対し,薬害オンブズパースン会議は,「厚生労働省の働きかけがなされてからきわめて短期間で見解が公表されていることや,厚生労働省から渡された「下書き」と公表された見解の類似性からすれば、厚生労働省からの影響力が強く及んでいたことは明らか」という見方をしています.
学会は,今までこの問題について沈黙を守っていますが,学会の公正さに対する社会の信頼を回復するために,適正な調査を行い,事実を明らかにすることを期待いたします.
谷直樹
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