弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

禁煙補助剤チャンピックスの添付文書改訂(心血管イベントのリスク記載)と意識障害による自動車事故の公表

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◆ 心血管疾患のリスク

厚労省は,平成23年10月25日,ファイザー株式会社に,禁煙補助剤チャンピックスの心血管イベントの報告を添付文書に記載するよう指示しました.
以下の点が,記載されました.

「**海外で実施された心血管疾患を有する患者703例を対象とした本剤の有効性評価のためのランダム化二重盲検比較試験において、心血管イベントの発生割合は本剤投与群では7.1%(25/353)、プラセボ投与群では5.7%(20/350)[リスク差:1.4%、95%信頼区間-2.3%~5.0%]であったとの報告がある3)。また、安全性メタ解析において、心血管イベントの発生割合は本剤投与群では1.06%(52/4908)、プラセボ投与群では0.82%(27/3308)[Petoオッズ比1.72、95%信頼区間1.09~2.71]であったとの報告がある4)。 

3) **Rigotti,N.A.et al.:Circulation 121:221,2010 [L20100119012] 

4) **Singh,S.et al.:CMAJ 183(12):1359,2011 [L20110914019]」 


要するに,チャンピックスには心筋梗塞,狭心症などの心血管疾患を引き起こす危険,悪化させる危険がある,ということです.
添付文書の「注意」には,もう少しわかりやすく書いてほしいですね.

薬害オンブズパースン会議注目情報,「禁煙補助剤バレニクリン(チャンピックス)が心臓に害作用」」ご参照

米国FDA,禁煙薬の有効性と心臓病リスクを指摘」ご参照


◆ 意識障害による自動車事故のリスク
 
チャンピックスを服用後に意識障害に陥り自動車事故を起こす例が,現在まで12件報告されています.
厚生労働は,10月26日,ファイザー社に添付文書の改訂を指示した7月以降に,そのうちの半数6件の事故が起きていることを公表しました.

日経新聞「禁煙補助剤で意識障害、車事故7月以降6件」(平成23年10月27日)ご参照

これは,添付文書を改訂したものの,危険性がわかりにくい記載のためではないか,と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-27 01:14 | タバコ