弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

厚労省方針(不活化ワクチン緊急輸入せず)はきわめて疑問です

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◆ 報道

毎日新聞「ポリオ:不活化ワクチン緊急輸入せず 厚労省方針」(2011年11月2日)は,次のとおり報じています.

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「ポリオ(小児まひ)の予防接種を巡り、自治体や患者団体から国内未承認の不活化ワクチンの緊急輸入を求める要望が相次いでいる問題で、厚生労働省は2日、「薬事法上の要件を満たしていない」として緊急輸入はしない方針を示した。

 不活化ワクチンを希望者に提供することを決めた神奈川県の黒岩祐治知事が同日、厚労省に要望したが、応対した藤田一枝政務官は「不活化ワクチンが国内承認される13年春ごろまでは、現在使われている生ワクチンの接種を勧める」とした従来の国の考え方を重ねて説明した。面談後、黒岩知事は「政治主導で厚労大臣が早期導入を決断すべきなのに、生活者の目線に立っていない」と批判した。

厚労省によると、薬事法には病気の流行拡大を防ぐために通常の医薬品の審査手続きを簡素化して緊急的に輸入する「特例承認」の規定がある。09~10年に大流行した新型インフルエンザに対応するため、海外2社のワクチンを輸入した際に初適用した。しかし、ポリオの場合は、同法が特例承認の要件に定める「疾病の流行」「代替医薬品がない」などに該当しないという。【佐々木洋】」


◆ 感想

私は,藤沢市に住んでいますが,昨年藤沢市で生ポリオワクチンの被害が生じました.1歳の女子が,生ポリオワクチン投与後しばらくして発熱,手足のまひ,運動機能低下などを起こしました.
生ワクチンは,ウイルスを弱めただだけなので,絶対に安全とは言えないのです.1981年以降,日本のポリオ患者は,すべてワクチン由来によるものです.

100万人に1.4人だから生ポリオワクチンでよい,補償ですればよい,ということにはなりません.なぜなら,より安全な不活化ワクチンがあるのですから.

先進諸国はすでに不活化ポリオワクチンになっているのに,日本は不活化ワクチンへの切り替えを怠ってきました.

親たちが,事実を知り,個人輸入の不活化ポリオワクチンを接種する医療機関に集中しています.当然,生ワクチンの接種控えが起きています.

薬事法14条の3の「特例承認」にあてはまらないなどというのは,厚生官僚のご都合主義的解釈です.
厚労省は,新A型インフルエンザ(H1N1)対策として,米国などでも臨床試験中で,承認されていないし,もちろん使用実績もないインフルエンザワクチンについて,平成22年1月20日,「特例承認」を決定したではありませんか.

不活化ポリオワクチンは,すでに先進諸国で承認され,使用実績もあるワクチンです.
同等品でなければ「代替品」とは言いませんから,生ポリオワクチンは,不活化ポリオワクチンの「代替品」ではありません.

ポリオワクチン接種は,不活化ポリオワクチンを用いるべきなのです.
厚労省は,国内ワクチンメーカーの側ではなく,国民の側に立つべきで,不活化ポリオワクチンを緊急輸入すべきです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-02 23:35 | 医療