弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪第3検察審査会不起訴不当,虫垂炎見逃し患者死亡事件

大阪第3検察審査会不起訴不当,虫垂炎見逃し患者死亡事件_b0206085_9221835.jpg読売新聞「虫垂炎症状見逃し患者死亡 医師の不起訴「不当」…検察審議決」(2011年11月26日)は,次のとおり報じています.

「患者の虫垂炎の症状を見逃して死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴(嫌疑不十分)とした40歳代の男性医師について、大阪第3検察審査会が「漫然と診察し、血液検査など最低限の検査を怠った」として、不起訴不当を議決したことがわかった。

 10月26日付の議決などによると、医師は2006年11月、大阪府内の病院で当時43歳の男性患者を診察。風邪と診断したが、患者は翌日死亡した。解剖の結果、死因は虫垂炎による敗血症ショックで、診察時にすでに虫垂炎を発症していたとみられることがわかった。

 遺族は「診察時に腹痛を申告していた」と主張したが、地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし、遺族が同審査会に申し立てていた。」


おそらく,医師の感覚は,虫垂炎の見逃しで起訴されるのはかなわない(すぐにわからないときもあるから),というものでしょう.
これに対し,一般市民の感覚は,虫垂炎の見逃しで死亡しているのに不起訴は納得できない,せめて検査くらいはしてほしい,というものでしょう.
さらに,法律家は,立証の問題を重視しますから,どうしても慎重になります.

医療界には,医師の刑事免責を広く認めさせたい,という声もありますが,本件にみるように,一般市民の感覚はそれをうけいれるものではないように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2011-11-26 23:45 | 医療事故・医療裁判