弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

独立行政法人国立病院機構東京医療センターにおける遺伝子組換え生物等の不適切な使用等について

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「大山鳴動鼠一匹」(The mountains have brought forth a mouse.)と言いますが,これはラテン語のことわざに由来します.大騒ぎしたのに小さなことしか起きなかったという意味です.マウス1匹a mouseは小さなことの喩えだったのですが・・・

独立行政法人国立病院機構東京医療センターで,マウス1匹が逸走するという出来事が起こりました.これが遺伝子組み換えマウスでしたので,マウス1匹逸走でも大事件となりました.

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◆ 法律

生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety)の的確かつ円滑な実施を確保し,もって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とするため「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号)が制定されています.

これは,国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため,遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずる法律です.

◆ 経緯

独立行政法人国立病院機構東京医療センターで,2011年12月28日,この法律に基づき使用等を行っていた遺伝子組換えマウスが,飼育室から逸走しました.

文部科学省には,2012年1月6日に逸走の報告があり,文部科学省は,同日,現地調査を行いました。
調査の結果,逸走マウスの所在や逸走の原因について十分な検証が行われていなかったことが分かりました.
引き続き逸走マウスの捜索を行うこと等が指導され,翌1月7日逸走マウスが捕獲されました.
飼育室の扉が開けたままで,逃亡防止用装置も外していたことが原因で,同じ階で捕獲されました.

文部科学省は,2012年1月20日,独立行政法人国立病院機構東京医療センターにおける遺伝子組換え生物等の不適切な使用等について,再発防止のための措置を徹底するよう厳重に注意を行いました.

◆ 感想

今回は10日間で捕獲されましたが,遺伝子組換え生物が逃げ出し繁殖しかねない非常に危険な事態でした.
遺伝子組換え生物等の使用等を行う施設は,条約,議定書,法律の趣旨を理解し遵守していただきたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-01-22 01:25 | 医療