第32回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会資料,「たばこに関する目標設定の考え方について」


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成人の喫煙率の低下
◆ 目標値設定の必要性
「○ 喫煙は、がん、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病、周産期の異常など様々な疾病の原因となることが科学的知見として確立されており、その健康影響は明らかである。」
JTは,疾病の要因ではあるが,原因ではない,科学的知見が確立していない,などと述べていますが,タバコがこれらの疾患の原因であることは科学的にはすでに解決済みの議論です。
「○ たばこ消費量は近年減少傾向にあるが、過去のたばこ消費による長期的な健康影響と急速な高齢化により、たばこ関連疾患による死亡数は年々増加しており、わが国の年間死亡者数(参考:平成22年119万人)のうち、喫煙者本人の喫煙による年間の超過死亡数は12~13万人と推計されている。」
119万人のうち,12~13万人が直接喫煙で亡くなっているのです.日本人の9人に1人がタバコで亡くなっているのです.嗜好品として許されるようなものではありません.
「○ また、日本も批准し平成17年に発効した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の目的に「たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを減少させる」とあり、国際的にも、その責務が求められている。」
タバコ規制は,条約上の義務です.
「○ したがって、次期国民健康づくり運動において、成人の喫煙率低下に関する目標を設定し、必要な対策を推進することにより、現在及び将来の健康被害を回避することが必要である。 」
◆ 目標値の考え方
「○ 厚生労働省が策定した「健康日本21」においては、たばこに関し、「喫煙をやめたい人がやめる」ことを方針として掲げ、健康づくり運動を推進している。
○ また、平成19年に策定された「がん対策推進基本計画」では、個別目標として、「喫煙をやめたい人に対する禁煙支援を行っていくことを目標とする」ことが閣議決定されており、厚生労働省のみならず、政府全体として、喫煙をやめたい人が禁煙する環境を整備することが求められているところ。
○ このような状況を踏まえ、目標値については、現在の成人の喫煙率から、禁煙希望者が禁煙した場合の割合を減じたものを設定する。 」」
タバコには依存性があります.やめたいと思わない,というのは依存性による認知の歪みです.認知の歪みを正すことも支援の一つでしょう.
ただ,少なくとも,やめたいと思っている人がやめるための支援を行うのは,閣議決定もあり,既定の政策です.
そこで,やめたいと思っている人が約4割ですから,約4割減という目標値が設定されるのです.
未成年者の喫煙をなくす
未成年期からの喫煙は健康影響が大きく,かつ成人期を通した喫煙継続につながりやすく, 既に「健康日本21」で「未成年者の喫煙をなくす」が目標値となっているので 0%が目標値です.
受動喫煙の防止
◆ 目標設定の必要性
(国際的な動向)
○ たばこは、受動喫煙などの短期間の少量暴露によっても健康被害が生じ、虚血性心疾患、肺がん、乳幼児期の喘息、乳幼児突然死症候群などの健康被害の原因となる。
○ このため、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の第8条において、「たばこの煙にさらされることからの保護」のための効果的な措置を講じることが規定された。○ さらに、平成19年の「たばこ規制枠組条約第8条履行のためのガイドライン」においては、法的拘束力はないものの、「すべての屋内の職場、屋内の公共の場及び公共交通機関は禁煙とすべきである」ことが明記され、諸外国でも受動喫煙に関する規制強化が進んでいる。
(国内の取組)
○ 平成15年に施行された健康増進法において、多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙防止のための措置を講じることを努力義務として規定したほか、平成22年に発出した健康局長通知では、「今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間は、原則として全面禁煙であるべき」ことを示した。
○ また、職場については、平成22年に閣議決定した「新成長戦略」において、2020年までに「受動喫煙の無い職場の実現」が掲げられた。
◆ 受動喫煙の目標設定
○ このような受動喫煙を取り巻く国際的、国内的状況を踏まえ、受動喫煙の防止を一層推進するため、受動喫煙の防止に関する目標を設定することが必要である。
◆ 目標値の考え方
①行政機関・医療機関について
平成22年の健康局長通知において、「少なくとも官公庁や医療施設においては、全面禁煙とすることが望ましい。」とされているとおり、これらの施設については、住民の健康を守るための公的責任を果たす要請が特に強い。したがって、住民の健康被害を防止する観点から、行政機関・医療機関については、「受動喫煙の機会を有する者をなくす」ことを目標に掲げることが適当である。
②職場について
職場については、労働安全衛生法に基づき、快適な職場環境を形成することが事業主の努力義務として規定されている。「新成長戦略」の記述と整合性を図り、「受動喫煙の無い職場の実現」を目標に掲げることが適当である。
③家庭・飲食店について
・国民の健康被害を防止する観点からは、家庭・飲食店においても、行政機関等と同様、受動喫煙を完全になくす目標を設定することが望ましいこと、
・一方、20歳以上の者に喫煙が認められている中、プライベートな空間である家庭において完全な受動喫煙防止を求めることは、現時点では困難であること、
・飲食店の場合は、平成21年3月に取りまとめられた「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書」でも、「中小規模の事業所が多数を占める飲食店や旅館等では、自発的な受動喫煙防止措置と営業を両立させることが困難な場合があることに加え、利用者に公共的な空間という意識が薄いため、受動喫煙防止対策の実効性が確保しがたい状況にある。」とあり、顧客に対して禁煙等とすることを一律に事業者に求めることは、現時点では困難であること、
を踏まえ、受動喫煙の機会を有する者を半減することを目標とする。なお、喫煙率そのものが低下すれば、受動喫煙の割合も自然に低下することとなるので、半減させる基準となる値は、現在、家庭、飲食店で受動喫煙の機会を有する者の割合に、禁煙希望者が禁煙した場合の割合を減じた割合とする。
ただし、特に育児期間中においては、乳幼児の健康の観点から、両親が家庭で喫煙することのないよう周知・広報を徹底するとともに、将来的には家庭・飲食店においても全面的に受動喫煙がなくなるよう、国民のコンセンサスを得ながら、社会全体としての取組を計画的に進めていくことが必要である。
ということで,半減目標となっています.
JTやタバコ族議員らの圧力に屈せず,この目標数値を計画に入れることを期待いたします.
谷直樹
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