弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

QRS(生体共鳴測定装置)を用いた検査と薬事法

QRS(生体共鳴測定装置)を用いた検査と薬事法_b0206085_9215698.jpg◆ QRS(生体共鳴測定装置)を用いた検査

QRS毛髪検診について,いくつかのサイトを見てみました.
以下のとおり書いてあるサイトがありました.

「散髪した時の髪の毛で自分の健康状態を検査できる方法があります。
もちろん、今回の放射能汚染に関しても検査することができます。
きちんとしたクリニックの西洋医学のお医者さんが開発した検査方法です。
したがって、『薬事法』もクリアしています。
※ネット販売している健康食品とは異なります。あやしいキットではありません。
成人病を検査する『人間ドック』の項目だけではなく、メンタル面の状態も検査することができます。」


この「したがって」というのがわかりません.

薬事法第13条は「医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造をしてはならない。」と定めています.
医療機器の製造者が「・・・医療機器の製造業の許可を受けた者」であるかが問題なのです.
開発者がお医者さんであれば薬事法をクリアできるという話ではないのです.
論理的に「したがって」とは言えないはずです.

◆ 「医療機器」とは

薬事法第2条第4項は,「この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であつて、政令で定めるものをいう。」と定めています.
薬事法施行令で「内臓機能検査用器具」は医療機器とされています.

QRS(生体共鳴測定装置)は,単に毛髪の状態を調べるというものではなく,毛髪を調べその人の健康状態を検査できるとうたっているのですから,「内臓機能検査用器具」の一つとして,薬事法上の「医療機器」に含まれ,承認を要することになるでょう.

また,日本は,医療機器規制国際整合化会議(GHTF)加盟国で,GHTFは,医療機器路「あらゆる計器・機械類、体外診断薬、物質、ソフトウェア、材料やそれに類するもので、人体への使用を意図し、その使用目的が、疾病や負傷の診断、予防、監視、治療、緩和等、解剖学または生物学的な検査等、生命の維持や支援、医療機器の殺菌、受胎の調整等に用いられるもの」と定義していますので,QRS(生体共鳴測定装置)は医療機器に含まれるでしょう.

◆ 薬事法第68条

薬事法第68条は「何人も、第14条第1項又は第23条の2第1項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第14条第1項若しくは第19条の2第1項の規定 による承認又は第23条の2第1項の規定による認証を受けていないものにつ いて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。」と定めています.

したがって,もし,QRS(生体共鳴測定装置)が「内臓機能検査用器具」として薬事法の承認を受けていないのであれば,薬事法違反となると思います.

◆ 薬事法第66条

毛髪で婦人科のがんが診断できる,とうたっているサイトもあり,「検診結果を基に指導とケアを行い、その人に適した「QRS処方水」を調整」と書いているサイトもありました.

薬事法第66条は「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」と定めています.

監督官庁は,どのように対応するのでしょうか.

谷直樹
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by medical-law | 2012-02-01 02:04 | 医療