出河雅彦氏,「医療用ガス取り違え事故の背景に高圧ガス識別色の不統一 」


にほんブログ村
◆ 公立八女総合病院での事故と対策
2008年8月に,公立八女総合病院で酸素ボンベのつもりで二酸化炭素ボンベを接続し,2人の患者が死亡しました.
厚労省は,事故を受けて,2009年3月,工業用二酸化炭素ボンベではなく,接続口が酸素ボンベと異なる医療用二酸化炭素ボンベを使用するよう通知しました.
◆ 神戸市立医療センター中央市民病院での事故と対策
2011年7月,神戸市立医療センター中央市民病院で,酸素ボンベを使うつもりで二酸化炭素のボンベを接続してしまい,患者が一時心停止になる事故が起きました.
中央市民病院は,通知前から医療用二酸化炭素ボンベを使用していましたが,緊急時にすぐに使えるようにとの配慮から接続口に減圧弁や流量調節計をセットした状態にしていたので,接続できてしまったのです.
厚労省は,この事故後,ボンベを使用しない時にはボンベから減圧弁を外すよう通知しました.
なお,中央市民病院は事故直後,▽心臓血管外科手術に使う二酸化炭素のボンベをそれまでの3倍量の10リットルに変更して識別しやすくし,カートも専用のものにする,▽ボンベの使用後は臨床工学技士がすみやかに器材室に戻し,レギュレーターを外して保管する――などの再発防止策をとりました.中央配管の二酸化炭素の接続口に使用できる専用アダプターの製作を業者に発注し,今年度内に導入する予定とのことです.
◆ ボンベの色の問題
日本工業規格T7201「麻酔器」の76年の改正で,酸素は緑,笑気は青で識別すると決まり,医療現場では,酸素は緑,という認識が広まりました.
ところが,高圧ガス取締法(97年から高圧ガス保安法)の容器保安規則で,酸素は黒,アンモニアは白,炭酸ガスは緑などと決められました.これは,医療用も例外ではありませんでした.
鳥取大学名誉教授佐藤暢氏は,医療現場では,酸素は緑のイメージがあるので,容器保安規則などの法令改正が望ましいが,接続部に近いボンベの上半分を酸素は緑,二酸化炭素はだいだい色と2色塗りにするだけでも誤認防止が期待できる,と述べています.
谷直樹
ブログランキングに参加しています.下記バナーを1日1回クリックお願いします.7日間のクリック数合計が順位に反映します.
↓

にほんブログ村