静岡県の病院,常位胎盤早期剥離による胎児死亡で2012年2月10日和解

重要な裁判上の和解が報道されています.
◆ 事案
毎日新聞「医療ミス訴訟:静岡赤十字病院、5500万円で和解 /静岡」(2012年2月11日)は,次のとおり報じています.
「訴状によると、女性は妊娠26週だった04年7月20日、腹痛などを訴え同病院を受診した際、実際は直ちに帝王切開が必要な常位胎盤早期剥離だったことに気付かなかった。その後も胎盤早期剥離の兆候が顕著だったにもかかわらず約10時間処置せず、胎児を死なせたとしている。」
◆ 訴訟上の和解
静岡地裁民事1部で,2012年2月10日,日本赤十字社がその女性に5500万円を支払い謝罪することで和解が成立しました.
日本赤十字社は,当初争う姿勢でしたが,昨年10月裁判所が鑑定を委託した産婦人科医が「治療は不適切」と報告したことから和解を受け入れた,とのことです.
◆ コメント
上記報道の件は私が担当したものではありません.
被告(医療機関)側から,原告(患者)側が私的鑑定意見書を提出しない限りは,裁判所が鑑定をすべきではない,という主張が行われることがしばしばあります.
しかし,両当事者が納得できる科学的な適正な裁判所鑑定が行われれば,医療訴訟は早期に解決します.
本件は裁判所鑑定が解決に奏功した例と思います.
受診時に直ちに帝王切開が必要な常位胎盤早期剥離だった場合,その時点で帝王切開を行っていれば結果は違っていたのかが,問題になります.本件は,日本赤十字社が和解に応じたことからすると,結果は違っていたといえる事案なのでしょう.
なお,胎児死亡事案で5500万円の賠償額は,過去の例と比べて高額です.
谷直樹
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