日本医療機能評価機構,医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.63「画像診断報告書の確認不足」

紹介されている事例は,以下のとおりです.
「弓部大動脈瘤人工血管置換術後の患者。外来担当医はCT検査を行い、その当日に画像を見て大血管に吻合部大動脈瘤がないことを確認し、異常なしと判断した。その後、画像診断報告書に、「原発性肺腫瘍が疑われる」とコメントされていたが、外来担当医は所見に気付かなかった。約1年後、咳と胸水貯留を認めたため、精査したところ、原発性肺癌と診断された。」
これに対する,総合評価部会の意見は,「入院(特に退院直前)、外来を問わず、画像診断報告書が確認できる仕組みを医療機関内で構築する。」というものです.
私のところにも,医師が診断報告書自体を全く見ていなかったり,目をとおしても記載を読んでいなかったため,発見が遅れた事例は結構相談があります.
医師は画像診断報告書を読んでほしいと思いますし,重大な所見,コメントについてはきちんと伝達するシステムを作ってほしいと思います.
民事の損害賠償を求めるためには,発見の遅れと結果の発生との間に相当因果関係があることが必要で,その旨の反論・回答がなされることがしばしばありますが,患者家族は,そのような見落とし(ミス)自体に憤懣やるかたのない気持ちを抱いています.
医療機関側が,事実経過を明らかにし,防止可能なミスに真摯に対応し,謝罪し,再発防止への努力を示す姿勢ですと,紛争は解決に向かいますが,そうでないと(法的責任はないの一点張りだと),本来簡単な話も複雑錯綜したものになりがちです.
谷直樹
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