弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ノバルティス社,高血圧治療薬「ラジレス」の添付文書を欧州で改訂

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ALTITUDE試験のデータモニタリング委員会(DMC)による中間解析審査の結果,本試験に参加した患者さんにおいて,「ラジレス(一般名アリスキレン)」による治療がベネフィットをもたらす可能性は低く,また,本試験の対象となったハイリスクの患者さんでは,非致死性脳卒中,腎合併症,高カリウム血症,および低血圧の発現頻度が高かった,と結論づけられました.

そこで,ノバルティス社は,ALTITUDE試験を中止し,2011年12月から欧州医薬品委員会(CHMP)による「ラジレス」のリスク/ベネフィットに関する再調査が開始されました.

その結果,CHMPは,欧州において糖尿病患者および/または中等症から重症の腎機能障害患者(GFR < 60 ml/min/1.73 m2)での「ラジレス」とACE阻害薬またはARBとの併用を禁忌とするように「ラジレス」の添付文書の改訂を要請しました.
CHMPは,「ラジレス」とACE阻害薬またはARBの併用について添付文書上で注意喚起を行うよう要請しました.

これをうけ,ノバルティス社は,上記のとおり欧州において添付文書を改訂し,日本での添付文書改訂については,独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議中とのことです.

「ノバルティスは患者さんの安全性を最優先に考えており、CHMP、EMA、そして世界各国の保健当局と密に協議し、『ラジレス』ならびに『ラジレス』の配合剤の利益を受ける最も適切な患者さんのために製品供給を継続します」とのことです.

ノバルティス社のプレスリリースご参照

ラジレスは,レニン活性を直接阻害することによって,アンジオテンシンⅠの生成を抑制し,それによってアンジオテンシンⅡの生成を抑制する薬剤です.
つまり,ラジレスは,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)の上流で作用する薬剤です.
これに対し,ACE阻害薬は中流で作用する薬剤,ARBは下流で作用する薬剤といってよいでしょう.

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の対応が注目されます.

谷直樹
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by medical-law | 2012-02-25 02:28 | 医療