溝口訴訟,福岡高裁平成24年2月27日患者側逆転勝訴判決

以前,ブログに溝口訴訟のことを書きましたが,溝口訴訟は,2月27日,福岡高裁民事5部で患者側の逆転勝訴となりました.
福岡高裁平成24年2月27日判決は,国が1977年に示した水俣病の認定基準について,「本来認定されるべき申請者が除外されていた可能性を否定することができず、判断条件が唯一の基準として運用されたことは、適切であったとは言い難い」とし,メチル水銀に対する曝露状況,生活状況等を総合的に考慮して,感覚障害としか診断されていない故溝口チエ氏についても水俣病と認定すべきと判示しました.
第65準備書面まで書いた控訴人代理人の吉勝法律事務所山口紀洋弁護士(私の元所属事務所の所長弁護士)らは,1時10分の判決後,高裁前で「勝訴」,「壁」などと毛筆で書いたものを示し,さらに福岡から熊本に移動し,謝罪と上告断念のため熊本県知事蒲島郁夫氏との面談を求めました.
蒲島氏は,知事選関連の会合を理由に面談に応じませんでした.
副知事の村田信一氏が代わりに対応しました.
控訴人の溝口秋生さん(80歳)は,「やっと当たり前の判決が出た。上告せず、謝罪してもらえますか。」と,副知事の村田信一氏に迫りました.
残念ながら,今も国の「認定基準」は変わっていません。
その認定基準より緩い「水俣病被害者救済特別措置法」により救済されていたのですが,その特措法の申請も打ち切りとなろうとしているのが現在の状況です。
この「認定基準」は,中毒症では唯一診断に症状の組み合わせを必要とするもので,明らかに誤っています.
国はこの判決でも「認定基準」を見直さないと言っていますが,この判決を受けて,不合理な「認定基準」の見直しを求める声はより大きくなると思います.
【追記】
細野豪志環境相が28日に「基準そのものが否定されたと受け止めていない」などと述べたことに対し,泉田裕彦新潟県知事は,同日,「判決が問題と言っているのに、『問題じゃない』といって責任をとらないということであれば極めて問題だ」と厳しく批判しました.
熊本県知事と新潟県知事は,対応がだいぶ違うようです.
谷直樹
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