SOC(sence of coherence,首尾一貫感覚)を高めて
ユダヤ系アメリカ人A・アントノフスキー博士は,ナチスのユダヤ人強制収容所から生還した人の追跡健康調査を行ったところ,多くの人が健康ではなくあまり長生きできなかったことがわかりました.これは,強制収容所でストレスにさらされたためと思われました.
ところが,生還者の一部は,極めて良好な健康状態を保ち,長生きしました.
A・アントノフスキー博士は,その人たちの特徴を分析し,SOC(sence of coherence,首尾一貫感覚)という概念を提唱しました.
SOCは,次の3要素から成り立ちます.
1)有意味感(meaningfulness) 人生に意味があると感じる
2)把握可能感(comprehnesibility) 問題を一貫したもので了解可能であると認知する
3)処理可能感(manageability) なんとか対処できると考える
SOCは,ストレスに対処し,健康に生き長らえる能力です.
SOCは,成長の過程で形成される後天的な資質です.
したがって,SOCは,後天的に高めることができます.
◆ 「青年期にある女性の喫煙行動と首尾一貫感覚(SOC)の関連性に関する研究」
大阪医科大学看護学部カルデナス暁東氏,森ノ宮医療大学保健医療学部酒井ひろ子氏,甲南女子大学看護リハビリテーション学部川村千恵子氏の「青年期にある女性の喫煙行動と首尾一貫感覚(SOC)の関連性に関する研究」(母性衛生 52(4): 508 -515 2012)は,興味ある研究です.
今回の調査対象である女子大学生767人中,喫煙学生は71人(9.3%)でした.
そのうちの44人は大学入学以前から喫煙習慣がありました.
63人は禁煙経験があり,57人はストレスを感じ喫煙を再開しました.
喫煙学生のストレス対処能力(SOC)が低く,非喫煙学生のストレス対処能力(SOC)が高いこともわかりました.
このことから,SOCを高めることで,禁煙ができる,ということが導かれます.
認知行動療法を取り入れ,禁煙支援を行っている禁煙外来がありますが,SOCを高めることで禁煙を成功させようというものなのです.
谷直樹
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