弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

京都市の病院,呼吸補助装置から酸素が供給されないミス後に患者が死亡

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京都新聞「酸素供給ミス直後に患者死亡 ○○の病院 6日後、警察に相談」(2012年3月」27日)は,次のとおり報じています.

「○○市○○区の「○○病院」で今月20日、呼吸補助装置から酸素が供給されないミスがあり、直後に70歳代の女性患者が死亡していたことが26日、同病院などへの取材で分かった。医師法に基づき24時間以内に警察署に届ける義務がある「異状死」の可能性もあるが、病院は26日になって○○署に事案を電話で相談した。

 病院などによると、酸素ボンベの栓が閉まっており、病院に医療用酸素を納入する業者(伏見区)が、開栓しなかったという。

 患者は肺炎を患い、呼吸補助装置を装着した。20日午前3時半ごろ、ボンベの酸素残量が少ないことを示すアラームが鳴り、業者を呼んで復旧作業をしたが、午前4時34分に死亡が確認された。

 病院や業者の説明では、業者は19日にボンベの栓を閉め酸素漏れの修理したが、終了後の開栓を怠った。病院側は業者から「不備があり迷惑をかけた」と謝罪する報告書を受け取ったという。

 病院は「患者は重篤な状態で亡くなったことに違和感はなかった。明確な異状死とは判断していないが、弁護士から医師法に基づき報告した方がいいと言われた」としている。業者は「患者の死亡との因果関係は不明だが、遺族には誠実に対応したい」としている。」


酸素ボンベの開栓を怠ったために酸素が供給されなかったミスと,患者の死亡との間の「因果関係」が問題になります.別の原因で亡くなった可能性もないではないでしょうが,酸素が供給されなかったために亡くなった可能性が高いのはないでしょうか.
もし,酸素が供給されなかったために亡くなったとすると,事故死であって,病死ではありません.

「重篤な状態で亡くなったことに違和感はない」「因果関係は不明」ですませるのではなく,因果関係も含めて調査すべき事案と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-28 05:18 | 医療事故・医療裁判