平成24年3月30日新潟地裁判決,1年後の内視鏡検査義務違反を認定(報道)

胃がんは,早期であればあるほど,まったく症状を呈さないものが多い疾患ですので,内視鏡検査(胃カメラ検査)が重要です.上部消化管のがんのクリーニングについては,定期的な上部消化管内視鏡を行うべきでしょう.
本件患者は定期的に大学病院に通院していたのに,同病院の医師は,2006年の内視鏡検査(萎縮性胃炎あり)以後,2009年4月のまで,一度も内視鏡検査を行わなかったのですから,注意義務違反は明らかと思います.
◆ 毎日新聞の報道
毎日新聞「○○大病院の内視鏡検査損賠訴訟:○○大に1635万円支払いを命じる--地裁判決 /新潟」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.
「○○病院で06年に内視鏡検査を受けてから約2年7カ月にわたり検査が行われなかったことから胃がんの発見が遅れ、胃の3分の2の切除を余儀なくされたとして、新潟市西区の男性(62)が同大に対して約1930万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、新潟地裁であった。草野真人裁判長は、同大に約1635万円の支払いを命じた。
草野裁判長は判決で、06年当時、胃がんは発見されなかったが、萎縮性胃炎など胃がんの発生しやすい状態だったことからすると「担当医は約1年後に内視鏡検査を行うなどして検査すべき義務があった」と指摘。その上で「07年に内視鏡検査をしていれば、胃がんを早期発見でき、3分の2を切除する必要はなかった」とした。
院長は「主張が認められず残念。判決内容をよく見た上で関係部署と協議しながら対応したい」とコメントした。【川畑さおり】」
◆ 朝日新聞の報道
朝日新聞「「がん検査怠った」1635万円支払い命令」(2012年3月30日)は,次のとおり報じています.
「胃がんだったにもかかわらず、○○病院(新潟市)が検査を怠って胃の3分の2の切除を余儀なくされたとして、新潟市の60代男性が、病院を運営する○○大に約1930万円の損害賠償を求めた訴訟で、新潟地裁(草野真人裁判長)は29日、医師の注意義務違反を認め、大学に約1635万円の支払いを命じる判決を出した。
男性は2006年9月に別の医院の内視鏡検査で胃がんの疑いと診断されたが、紹介を受けた○○病院の内視鏡検査では発見されなかった。その後、定期的に同病院に通院したが、09年4月の内視鏡検査で胃がんが発見されるまで一度も内視鏡検査をせず、発見時は内視鏡手術のみで対応できない状態だったという。」
谷直樹
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