弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医薬品医療機器総合機構,炭酸リチウムの適正使用を求める

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炭酸リチウム(リーマス錠,リチオマール錠,炭酸リチウム錠)は躁病・躁状態の治療に汎用されている薬ですが,治療域と副作用発現域が接近しているため,血中濃度の測定が必要とされています.

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は,2012年4月9日,医薬品適正使用のお願い(炭酸リチウムによる重篤なリチウム中毒と 血中濃度測定遵守について)を発表しました.
それによると,適正な血中濃度が保たれず,重篤なリチウム中毒に至った症例が報告されているとのことです.
PMDAは,次のとおり,注意喚起しています.

「■ 「用法・用量に関連する使用上の注意」を遵守し、 適切な頻度で血清リチウム濃度測定を行って下さい。
■ 採血は、朝服薬前 に行って下さい。
■ 血清リチウム濃度に応じて以下の処置を行って下さい。
1.5mEq/L を超えたとき → 必要に応じて減量又は休薬
2.0mEq/L を超えたとき → 減量又は休薬 」


添付文書には,「リチウム中毒の初期症状として食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢等の消化器症状、振戦、傾眠、錯乱等の中枢神経症状、運動障害、運動失調等の運動機能症状、発熱、発汗等の全身症状を示すことがあるので、このような症状が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、中毒が進行すると、急性腎不全により電解質異常が発現し、全身けいれん、ミオクローヌス等がみられることがある。」と記載されています.

薬剤の不適正使用だけでは「医療過誤」にあたりませんが,不適正使用に因って具体的な健康障害が生じた場合は「医療過誤」にあたる場合があります.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-09 20:21 | 医療