弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日本医療機能評価機構 医療安全情報[No.65],救急カートに配置された薬剤の取り違え

日本医療機能評価機構は, 2012年4月16日,医療安全情報[No.65](救急カートに配置された薬剤の取り違え)を公表しました.

一刻を争う救急の現場では,単にラベル表示しただけでは取り違えミスが起きることを示しています.
救急カートの薬剤を取り違えるミスは,他の医療機関でも生じ得ることです.

ラベルと薬剤の位置関係を一定にし,一目瞭然の状態にしておくことは,有用でしょう.
また,口頭指示は,言い違え,聞き違え,思い違えがありますので,「ジゴシンですね」「セルシンですね」と確認する必要があるでしょう.

医療安全情報[No.65]の「事例」と「事例が発生した医療機関の取り組み」は,以下のとおりです.

◆ 事 例 1

気管支鏡検査の際、看護師は止血目的でボスミン生食を準備するため、救急カートからボスミンを取り出した。その際、救急カートの薬剤の仕切りのボスミンというシールを見たが、急いでいたためアンプルの薬剤名の確認はしなかった。
検査後、救急カートの確認を行ったところ、ボスミンと硫酸アトロピンの本数が合わないことに気付き、ボスミンと表示をはさんで配置が隣り合っていた硫酸アトロピンを使用したことが分かった。

◆ 事 例 2

患者が痙攣を起こしたため、医師は、看護師に「セルシン」と口頭で指示した。看護師は救急カートの表示を見て、ジゴシンをセルシンと思い込み、準備した。医師は用意された薬剤を確認せず注射した。

◆ 事例が発生した医療機関の取り組み

・救急カート内の薬剤名が識別しやすいように医療機関で工夫し、その方法を院内で標準化する。
・救急カートから薬剤を取り出す際や注射器に準備する際に、薬剤名を確認する。


谷直樹
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by medical-law | 2012-04-17 08:22 | 医療事故・医療裁判