日弁連,大飯原子力発電所の運転再開に反対する会長声明

大飯原子力発電所3号機及び4号機についての運転再開は時期尚早であり、原子力発電所の安全規制の仕組みからみても手続的に正当なものといえない。よって、当連合会は、政府に対し、再稼働を妥当とする判断を直ちに撤回し、同原子力発電所の運転再開をしないよう強く求める,という内容です.
会長声明は,以下の問題点を指摘しています.
◆ 暫定的な安全性の基準について
「(1) 全電源を喪失しても事態の悪化を防ぐ安全対策ができていること」について
「(1)に関する緊急安全対策は、既存の電源とは別の電源を確保するというものにすぎず、これは、これまでの電源確保対策の延長線上の対策であって、福島原子力発電所事故直後の応急処置にすぎない。また、仮に電源が確保されても、配電盤や海水ポンプが破壊されれば冷却機能の確保は図れないことは、福島原子力発電所事故が示したとおりである。」
「(2) 東日本大震災並みに想定値を超えた地震・津波に襲われても、核燃料が損傷しないことを政府が確認していること」について
「(2)については、まず、「東日本大震災並みに想定値を超えた地震・津波」とは、果たしてどのような地震・津波を指すのか明らかでない。また、これについて、安全評価(ストレステスト)の一次評価をもって基準を満たしたとしているが、原子力安全委員長自身が、一次評価では安全性が保障されるわけではないと述べている。」
「(3) 電力会社が、さらに安全を向上させる対策をいつまでに実施するか計画を作っていること」について
「(3)については、実施済みであることを確認するのではなく、いつまでに実施するのか計画を示せば足りるとされており、これでは意味がない。福島原子力発電所事故においてその有用性が示された免震施設の建設や、フィルター付きベントの設置など、事故時の影響を低減する重要な対策は後回しにされている。計画を策定しても、現にその計画が実施されなければ安全性は向上しないことは明らかである。」
◆ 耐震設計審査指針などの見直しがなされていないこと
「福島原子力発電所事故は、事故が起きないようにするためには原子力発電所の耐震安全性の確保こそが重要であることを示したにもかかわらず、その耐震設計審査指針などの見直しは全く実現していない。」
◆ 専門家による検討・国民的議論を経ていないこと
「上記の新しい安全性の基準なるものは、経済産業省及び原子力安全・保安院が実質的に主導し、これに基づき首相及び関係三閣僚によって決定されたものである。公正な専門家による検討や国民的議論を経たものではなく、当然、原子力発電所周辺、さらに広域の地方自治体の合意と理解も得られていない。」
◆ 他の代替手段の検討がなされていないこと
「原子力発電所の再稼働が必要な理由、すなわち、原子力発電所を再稼働しなければならない電力需要上の必要性があるのか、利用可能な電源設備、夏の電力使用ピーク時の電力使用削減策など他の代替手段は全くないのかについての検討も真剣になされたとはいい難い。」
谷直樹
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