弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医薬品・医療機器等安全性情報No.290,「医薬品による重篤な皮膚障害について」

2012年4月25日,医薬品医療機器総合機構(PMDA)のサイトに「医薬品・医療機器等安全性情報No.290」が掲載されました.

その中の「医薬品による重篤な皮膚障害について」は,依然として,皮膚粘膜眼症候群(SJS;Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死融解症(TEN)による重篤な結果が,少なからず発生していることを伝えています.

SJS,TENは,この2年半で約1505例報告されています.

転帰については,回復又は軽快が857例(56.9%),報告時点で未回復が48例(3.2%),後遺症ありが31例(2.1%),死亡が131例(8.7%),転帰不明等が438例(29.1%)とのことです.つまり,分かっているだけでも,131人が死亡し,31人に後遺症が残ったのです.

ジクロフェナクナトリウムで初期症状発現から受診まで時間がかかった症例,アロプリノールで診断に時間がかかった症例)もあり,治療が遅れたために重症化したおそれのある症例も認められている,とのことです.

医薬品投与後に高熱を伴う発疹等が生じてSJS,TENの発症を疑った場合には,被疑薬の投与を中止するとともに,速やかに皮膚科の専門医へ紹介することが重要です.

「◎ 発疹に加え下記の初期症状が認められた場合は、重篤な皮膚障害の可能性も考慮してください
・[初期症状]発熱(38℃以上)、眼の充血、眼分泌物、瞼の腫れ、目が開けづらい、口唇・陰部のびらん、咽頭痛等

◎ 早い段階での皮膚科専門医への相談及び紹介が重要です。
・急速な発疹の拡大や症状の遷延化を認めた場合には、早急に皮膚科専門医に相談、紹介してください。」(PMDA)



谷直樹
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by medical-law | 2012-04-26 02:26 | 医療