弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連,ALS患者の介護支給量義務付け訴訟判決に関する会長談話

和歌山地裁平成24年4月25日判決は,ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者に介護保険と合わせて1日当たり21時間以上の介護を支給することを和歌山市に義務付けました.
日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年5月12日,「ALS患者の介護支給量義務付け訴訟判決に関する会長談話」を発表しました.

「本判決は近時の東京地方裁判所平成18年11月29日判決及び平成22年7月28日判決(第一次・第二次鈴木訴訟判決)、大阪高等裁判所平成23年12月14日判決(石田訴訟判決)等でも示された、市町村は障がいのある人や難病患者の個別事情に則した十分な介護支給量を保障すべきとの法解釈を改めて確認したが、かかる法解釈は既に法理として確立したといえる。

当連合会は、2011年10月7日、第54回人権擁護大会において、「障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意思を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議」を採択し、障がいのある人の地域での自立生活を可能とするための支援を量的にも質的にも保障することを強く求めた。更に、2012年2月15日、「障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明」を公表した。

当連合会は、改めて国に対し上記決議の実現を求めるとともに、何人も障がいの有無に関わらず地域で自立生活を営む権利を有していることを確認し、全ての人に十分な介護支給量が公的に保障される法制度の確立及び運用を国及び市町村に強く求めるものである。」


今,政治は,障害者自立支援法を若干手直しし,温存する方向で動いています.
障がい者の権利を保障する総合的な福祉法の制定にはほど遠いのが現状です.
しかし,司法は,憲法に基づく障がい者の権利保障を認めています.
自治体が,政治の逆風にのることのないよう希望いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-15 02:33 | 福祉