弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療安全情報No.66,インスリン含量の誤認(第2報)

公益財団法人日本医療機能評価機構は,2012年5月15日,「医療安全情報No.66,インスリン含量の誤認(第2報)」を発表しました.

医療安全情報No.1(2006年12月)発表後も,インスリンの単位を誤認し、過量投与に伴い低血糖をきたした類似事例が8件報告されたため,「インスリン含量の誤認(第2報)」を発表することになったものです.

インスリンは100単位/mLに濃度が統一されており,「1バイアル1000単位(10mL)」です.名称も「○○100単位/mL」となっています.

このことはほとんどの人が知っているはずですが,全員に周知徹底されていなかったようです.
集計期間2006年10月30日~2012年3月31日の8件のうち3件は,経験年数1年未満の医師や看護師によるものとのことです.

紹介された事案は,「看護師A(1年目)は、持続インスリン投与をしていた患者のノボリンRの調製を初めて行った。指示簿には、『ノボリンR注100単位/mL(10mL)40単位+生食40mL』と書かれていた。看護師は、指示簿を見て、ノボリンR注は10mLが100単位だと誤認し、40単位の指示に対して4mL(400単位)を生食と調製し、総量40mLにした。4時間後、患者は声をかけても覚醒せず、低血糖(BS17mg/dL)になっていた。」というものです.

「ノボリンR注100単位/mL」は薬剤の名称で,濃度が100単位/mLであることを示していて,「(10mL)」は1バイアル(1瓶)10mLということで,普通はそれ以外に読みようがないように思います.
しかし,実際に上記のような誤解をした8件もあったわけです.新人が加わる医療現場では,薬剤の知識,薬剤の表記,指示の意味という基本的なことについて,確かに周知徹底をはかる必要があるようです.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-17 09:29 | 医療事故・医療裁判