弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

横浜地裁平成24年5月24日判決,県立病院新生児室で発生した集団感染で抗菌剤投与の遅れを認める(報道)

神奈川新聞「院内感染で後遺症、県立病院に賠償命じる/横浜地裁判決」(2012年5月25日)は,次のとおり報じています.
 
「2000年2月に県立足柄上病院(松田町)で出生した新生児が院内で細菌感染し、下半身に後遺症を負ったのは、病院が適切な治療を怠ったことなどが原因として、両親らが県に対し約7350万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(鶴岡稔彦裁判長)は24日、訴えの一部を認め、病院に約2600万円の支払いを命じた。

 鶴岡裁判長は、感染は、当時、病院の新生児室で発生した集団感染の一環だったとしたが「病院の感染防止対策に不備があったとは認められない」とした。

 その上で「感染の症状を完全に止めることは難しかったと考えられるが、医師がもっと早い段階で抗菌薬を投与していれば、程度を軽くできる可能性は十分にあった」とし、治療義務に一部、違反があったことを認めた。

 病院側は「判決内容をよく検討した上で、今後、対応していきたい」とコメントした。」


「神奈川県立足柄上病院,今年もまた,消毒0分の内視鏡を使用する事故」でも書きましたが,2010年6月手術室で使用していた気管支内視鏡の消毒が不十分で31人に感染リスクが生じましたが,2012年4月25日,同様の事故がおきています.
2000年2月のこの新生児の院内感染事故といい,感染予防,感染への対処をしっかり行っていただきたい,と思います.

偶然ですが,今日は横浜地裁第4民事部の期日のため横浜に行きます。お昼は裁判所向かいの東電ビル1階のサンドウィッチでしょう.ここはお奨めです.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-25 08:11 | 医療事故・医療裁判