薬害イレッサ,大阪高裁平成24年5月25日判決,全面敗訴
大阪高裁平成24年4月12日判決(関西水俣病認定訴訟逆転敗訴)もありましたが,大阪高裁は妙な判決が続いています.
薬害イレッサ弁護団のサイトに,大阪高裁判決全文が掲載されています.
大阪高裁判決の「論理」は ,基本的に東京高裁判決と同じです.
たった19症例,たった11人が死亡しただけでは危険性が予見できないというわけですが,何人死ねば危険性が予見できると言うのでしょう.
薬害イレッサ弁護団の声明は,以下のとおりです.
「本日,大阪高等裁判所は,薬害イレッサ訴訟の判決を言い渡し,国,アストラゼネカ社の法的な責任を否定した。
判決は,承認前の副作用報告について,その濃淡を問題にして,副作用報告が発している危険性のシグナルを不当に低く評価している。また,イレッサを使用するのは肺がん治療医であるとして,注意喚起としては,重大な副作用欄の記載で足りるとする。
大阪高裁判決の認定によっても,19症例の副作用報告・そのうち11例の死亡例が報告されていたのであり,仮にその因果関係に濃淡があったとしても,医薬品の安全対策としては,いったん発症すると半数以上が死亡するという重篤性をもった副作用であるとの前提で安全対策する必要があったのである。2002年10月15日の緊急安全性情報も,まさにこうしたイレッサの間質性肺炎の重篤性に基づいて発せられたものであり,少なくとも同様の注意喚起が承認時にもなされる必要があったことは明らかである。
判決にしたがえば,市販後に未曾有ともいうべき多くの副作用被害が生じ,それが安全対策の都度,如実に減少していったことを全く説明できない。判決の論理は,不当な東京高裁判決と同一のものであり,薬害・公害の歴史から導き出された予防原則を根底から否定すると共に,製薬企業・国の医薬品安全確保義務を著しく軽視して,副作用被害発生の要因を医療現場の医師等の責任に矮小化して押しつけるものに他ならない。
こうした判決を残すならば,薬害の連鎖を断ち切ることなど到底かなわず,私たちの後の世代に大きな禍根を残すことになる。私たちは,本日の大阪高裁判決に対し断固として抗議すると共に直ちに上告し,薬害イレッサ事件の全面解決を勝ち取るまでさらに奮闘する所存である。
さらなるご支援をお願いする。」
谷直樹
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