弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

薬害肝炎全国原告団/全国弁護団,「医薬品行政監視・評価第三者組織の設置に関するご報告および要請」

薬害肝炎全国原告団(代表山口美智子),薬害肝炎全国弁護団(代表鈴木利廣)は,2012年5月28日,「医薬品行政監視・評価第三者組織の設置に関するご報告および要請」を総理大臣,厚生労働大臣,各政党に提出しました。

共同通信「第三者組織「政府法案で」 肝炎訴訟原告が意見書」(2012年5月29日)は,次のとおり報じています.

「薬事行政を監視する第三者組織の設置法案を、民主党が議員立法で今国会に提出する方針を示したのを受け、薬害肝炎訴訟の全国原告・弁護団は28日、「国が薬害を繰り返してきた反省を踏まえ、議員立法ではなく、政府法案として提出することが大切だ」との意見書を、野田佳彦首相と小宮山洋子厚生労働相あてに提出した。

 第三者組織をめぐっては、厚労省の検討会が(1)委員は自ら審議事項を発議できる(2)厚労省に資料提出を求め、製薬会社や医療機関の外部情報も収集させる(3)厚労省に薬害防止措置を勧告する-などの権限を盛り込んだ提言と法案を示していた。

 意見書は民主党案では発議権や外部情報収集権などが明示されていないと指摘。「提言を骨抜きにする内容で、私たちが望む組織とかけ離れている」と批判している。」


「医薬品行政監視・評価第三者組織の設置に関するご報告および要請」は,次のとおり述べています.

「1 私たちの望む第三者組織
   私たちは,「最終提言」に示された,薬害再発防止のために活動する,独立性・専門性・機動性を備えた第三者組織を望んでいます。真に薬害を根絶するためには,第三者組織の形だけを作るのではなく,薬害再発防止に向けて役割を果たす,実効性のある組織とする必要があります。

 2 政府提出法案とすることの意義
   厚生労働省(旧厚生省を含む)は,薬害が発生する都度,被害者に謝罪し再発防止を誓ってきました。しかし,残念ながら薬害は繰り返し引き起こされてきました。
   抜本的にこの状況を変えるには,政府の過去の薬事行政に対する反省を踏まえ,厚生労働省が,自らの責任で,自らを監視・評価する第三者組織を設置(すなわち,政府提出法案により設置)することが大切です。そのことが,これまでの薬害発生・拡大に対する反省につながり,薬害再発防止を実効あらしめます。そうでない限り,私たち国民の信頼できる薬事行政にはなりません。
   歴代の厚生労働大臣も,これまで,国と私たちとの基本合意に基づく大臣協議において,今国会に第三者組織を設置するための法案を提出することを,約束してきました。

 3 議員立法案の問題点
   議員立法案は,私たちの望まない内容の法案です。後記表①~⑫のとおり,最終提言が具体的に明示した第三者組織を骨抜きにしています。薬害再発防止の目的もなければ,独立性・専門性・機動性にも問題があり,薬害再発防止に向けた役割を果たせるとは思えません。このような形ばかりの組織を作っても,行政の隠れ蓑になるだけで,薬害の再発防止はできません。
   議員立法案の定める組織は,私たちの望んでいる第三者組織ではありません。」


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谷直樹
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by medical-law | 2012-05-30 08:44 | 医療