アナフィラキシーショックによる死亡についての最高裁判決

アナフィラキシーショックによる死亡については以下の最高裁判決があります.
最高裁平成16年9月7日判決(判例時報1880号64頁)は,看護師が平成2年7月25日午後10時ペントシリン(合成ペニシリン製剤)とミノマイシン(テトラサイクリン系抗生物質製剤,ミノペン点滴静注用の一般名)の点滴静注を開始し,その直後の10時02分ころ病室から退出した事案で,アナフィラキシーショック症状を引き起こす可能性のある薬剤を投与する場合には,点滴静注開始後5分間の観察義務を認めました.
この最高裁平成16年9月7日判決は,
「医学的知見によれば,薬剤が静注により投与された場合に起きるアナフィラキシーショックは,ほとんどの場合,投与後5分以内に発症するものとされており,その病変の進行が急速であることから,アナフィラキシーショック症状を引き起こす可能性のある薬剤を投与する場合には,投与後の経過観察を十分に行い,その初期症状をいち早く察知することが肝要であり,発現した場合には,薬剤の投与を直ちに中止するとともに,できるだけ早期に救急治療を行うことが重要であるとされている。」
「あらかじめ,担当の看護婦に対し,投与後の経過観察を十分に行うこと等の指示をするほか,発症後における迅速かつ的確な救急処置を執り得るような医療態勢に関する指示,連絡をしておくべき注意義務があり,Y2が,このような指示を何らしないで,本件各薬剤の投与を担当看護婦に指示したことにつき,上記注意義務を怠った過失があるというべきである。」
と判示し,破棄差し戻しとしました.
谷直樹
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