豊橋市民病院,愛知県弁護士会の医療ADRで手術ミス事案について和解(報道)
「豊橋市は4日、市民病院(同市青竹町)で手の手術を受けた女性(50)の右手の指の一部に後遺症が出たのは手術ミスが原因だったとして、患者側に賠償金約2000万円を支払うことで和解したと発表した。
同病院によると女性は、両手のひらの神経と靭(じん)帯が接触して指にしびれや痛みが出る症状を発症し、2010年1月に同病院整形外科を受診。手のひらを切開し神経を圧迫している靭帯を切除する手法で同年3月に左手、6月に右手の手術を受けた。
その際、執刀した男性医師(当時29)が誤って右手の神経の一部を損傷。再手術で傷つけた部分をできるだけ縫合したが、親指と人差し指が曲がりにくくなる後遺症が残った。感覚が鈍り、ボタンをかけづらくなるなど日常生活にも支障を来し、障害者手帳を取得した。
市は昨年夏、手術ミスで障害を負わせたことを認め、女性に謝罪。女性は同病院に損害賠償を求め、代理人の弁護士を通じて協議した。愛知県弁護士会の専門機関に仲裁を申し立てた結果、同病院が女性に賠償金1980万円を支払うことで和解が成立した。
男性医師は当時、研修医2年間を含め同病院5年目で、同様の手術経験はあった。院内での調査に対し、男性医師は「靭帯を切る感覚はあったが、神経を傷つけたとの認識はなかった」と話しているという。
同病院の取り決めでは、手術でペアを組む医師のうち1人は専門医の資格を持つことが定められているが、今回、男性医師ともう1人の医師はともに専門医資格を持っていなかった。
医療事故を受け、同病院は再発防止のため、手術の際に必ず1人は専門医を入れるルールを徹底することを決めた。
同病院の杉浦康夫事務局長は「医療安全は病院の責務。事故はあってはならないことで、患者さんに申し訳ない」と陳謝。その上で「改めて全職員で意識を新たにし、日々の医療に取り組んでいきたい」と述べた。(中嶋真吾)」
愛知県弁護士会の医療ADRで和解が成立したことは注目されます.
ただ,今の段階では,一般に,責任を認めている事案について,賠償額を決めるに際し,医療ADRが利用される傾向があるようにみうけられます.
この点,東京3弁護士会の医療ADRでは,必ずしもそうではなく,当事者間の話し合いによる医事紛争の解決をめざし,もっと広い利用がなされているように思います.東京3弁護士会の運用は,双方当事者が同席した話し合いが中心になります.
ともあれ,医療ADRは,あっせん人と双方当事者の話し合い解決へ向けた理解が必要ですが,医事紛争の解決方法として有用と思います.
谷直樹
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