弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

埼玉県消費生活支援センター,美容医療のトラブルが深刻化

msn産経「美容医療のトラブルが深刻化 県消費生活支援センターが注意呼びかけ 埼玉」(2012日6月20日)

 「埼玉県内の消費生活センターに寄せられる美容医療に関する相談のうち、顔のしわ取りや二重まぶた化などで「(体に)傷が残った」など深刻な内容の相談が近年増加していることが19日、県消費生活支援センター(川口市)への取材で分かった。同センターでは「手術などを勧められても結論を急がないで、いったん持ち帰って考えてほしい」と呼びかけている。

 同センターによると、県内の消費生活センターに寄せられる美容医療に関する相談は年間90件前後。相談者は20代が最も多く、最近は50代、60代も増加。女性が76%で、契約金額は100万円以上500万円以下が29%を占めている。

 相談のうち、全体の約8割と最も多いのが契約内容や違約金、返金などをめぐるトラブルだ。このほかに多いのが、思ったような施術結果が得られなかったケースや、医師から「簡単なのですぐ手術を」と勧められてカウンセリングを十分に受けないうちに施術に至ったというもの。中でも、「まぶたに傷が残った」や「顔面がまひした」などの相談が、平成21年は12件、22年は18件、23年は20件と増加傾向にあるという。

同センターによると、ある60代の女性は、新聞のチラシを見て両頬のシワを取りたいと思い、美容整形外科を訪れた。医師からは「手術は簡単で、出血もしない。穴を開けてつるすだけなので大丈夫」と、いきなりその場で手術を勧められ、断り切れずに契約。手術のデメリットを記した書面は、その後に見せられたという。女性には手術後、頬が突っ張ったり、筋が入って目立つなど経過がよくないという。

 同センターでは、「美容医療は消費者が施術法を選択できる医療である」と強調。その上で、(1)施術を受けるかどうかや医師、医療機関の選択にはさまざまな情報を収集して判断する(2)リスクを事前に確認し、いったん家に書類を持ち帰って他の方法と比較検討する(3)トラブル発生に備え、施術前後の写真を撮り、医師とのやり取りのメモや資料を保管しておく-などの対策を呼びかけている。」


美容医療は,医学的見地からの必要性,緊急性が他の医療行為に比べて乏しい,という特徴があります.また,美容医療においては結果と患者の主観的希望とが一致することが求められます.
これらのことから,美容医療を行う医師は,手術前に十分時間をかけて説明し,検査を行い,新潮に手術を行うでき義務があり,美容医療を行う医師は,他の医療行為を行う医師に比べ,高度の注意義務が課せられています.

谷直樹法律事務所への相談でも,美容医療はすくなくありません.なかには損害等の立証が困難なものもありますが,損害の立証が可能な事案では,手術前には無かった醜状痕,傷跡等が生じたり,意図した結果が生じなかった場合などは,医療側からそれがやむを得ない結果であることが合理的に説明できない限り,原則として医師に過失があり,損害賠償責任がある,と考えるべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-06-20 17:44 | 医療事故・医療裁判