弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

周産期委員会,「一過性徐脈deceleration」変更の提案

日本産科婦人科学会誌(日産婦誌)64巻6 号によれば,2003年8 月号日本産科婦人科学会誌に掲載した,「胎児心拍数図の用語及び定義」の「Ⅲ.胎児心拍数図波形の定義,D.胎児心拍数一過性変動,(2)一過性徐脈」の箇所を変更することを,周産期委員会案として提出する,とのことです.

「(2)一過性徐脈deceleration
一過性徐脈の波形は,心拍数の減少が急速であるか,緩やかであるかにより,肉眼的に区別することを基本とする.心拍数の開始から最少点に至るまでに要する時間を参考とし,両者の境界を30秒とする.

(ⅰ)早発一過性徐脈early deceleration
早発一過性徐脈は,子宮収縮に伴って,心拍数が緩やかに減少し,子宮収縮の消退に伴い元に戻る心拍数低下で,その一過性徐脈の最下点と対応する子宮収縮の最強点の時期が一致しているものをいう.その心拍数の減少は,その直前と最下点の心拍数から,算出される.

(ⅱ)遅発一過性徐脈late deceleration
遅発一過性徐脈は,子宮収縮に伴って,心拍数が緩やかに減少し,子宮収縮の消退に伴い元に戻る心拍数低下で,子宮収縮の最強点に遅れてその一過性徐脈の最下点を示すものをいう.その心拍数の減少は,その直前と最下点の心拍数から,算出される.
(注)ほとんどの症例では,一過性徐脈の下降開始・最下点・回復が,おのおの子宮収縮の開始・最強点・終了より遅れて出現する.

(ⅲ)変動一過性徐脈variable deceleration
変動一過性徐脈は,15bpm 以上の心拍数減少が急速に起こり,その開始から元に戻るまで15秒以上2 分未満を要するものをいう.子宮収縮に伴って発生する場合は,その発現は一定の形を取らず,下降度,持続時間は子宮収縮ごとに変動する.
(注)子宮収縮が不明の場合は,早発一過性徐脈,遅発一過性徐脈,変動一過性徐脈の区別はつけない.

(ⅳ)遷延一過性徐脈prolonged deceleration
遷延一過性徐脈とは心拍数の減少が15bpm 以上で,開始から元に戻るまでの時間が2 分以上10分未満の徐脈をいう.10分以上の一過性徐脈の持続は基線の変化と見なす.」


30秒ルールが,「心拍数の減少が急速であるか,緩やかであるかにより,肉眼的に区別することを基本とする」に改めるよう提案されています.今後どのようになるか,注目です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-06-22 22:30 | 医療