弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

患者31人から無断で骨髄液を採取した,慶應義塾大学医学部教授と専任講師(呼吸器外科)が辞職

慶應義塾大学医学部教授(呼吸器外科,50歳代)と専任講師(同,40歳代)が,肺がんの幹細胞に関する臨床研究(当時,倫理委員会の承認なし.採取後承認.)を企図して,患者本人の同意を得ることなく,昨年秋ごろ,手術中,少なくとも31人の患者から,骨髄液を採取していた件(慶應義塾大学医学部教授と専任講師(呼吸器外科),臨床研究のために患者31人から無断で骨髄液を採取)の続報です.

読売新聞「慶大病院教授・講師、無断で骨髄液採取…辞職」(2012年7月3日)は,次のとおり報じています.

「慶応大学は3日、同大学病院呼吸器外科の教授と専任講師が、治療に必要のない研究用の骨髄液を患者に無断で採取した問題で、教授と専任講師が責任をとって6月30日に辞職したと発表した。

 2人は停職1か月の懲戒処分を受けていた。

 同大学は調査結果と再発防止策をまとめた報告書を公表。それによると、2人は、学内倫理委員会の承認手続きが完了していないのに、手術を行った肺がん患者26人の肋骨から骨髄液を無断で採取。また、肺がん以外の患者5人からも同意なしで骨髄液を採取した。

 同大は今後、再発防止策として、臨床研究計画や研究実施者の審査の厳格化、審査に携わる職員の増員などを実施するとしている。同大は6月29日に報告書を厚生労働省に提出。同省では内容を精査し今月中に、見合わせていた補助金交付の可否を決める方針。」


臨床研究のためとはいえども,患者に無断で骨髄液を採取するのは許されることではありません.もし,患者より研究優先,研究のためなら何でも許される,という雰囲気があるとしたら,問題でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-04 01:45 | 医療