弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

治験医師がGCPを十分に理解せず,イグラチモドの臨床試験の一部でGCP不適合

エーザイ株式会社と富山化学工業株式会社が共同開発を進めてきたイグラチモド(開発品コード:T-614)は,2012年6月29日,関節リウマチの効能効果で製造販売承認を取得しました.
標準治療薬であるメトトレキサートへの上乗せ試験で有効性が示された,とのことです.
プレスリリースによると,次のとおりです.

「本剤は、関節リウマチ患者様を対象とした単剤投与の臨床試験において、プラセボに対する優越性と既存DMARD(サラゾスルファピリジン)に対する非劣性を示しました。また、標準治療薬であるメトトレキサート(以下、MTX)で効果不十分な関節リウマチ患者様を対象としたMTX併用試験では、イグラチモドとMTXとの併用群は、良好な忍容性を示すとともに、主要評価項目である24週時のACR20反応率において、プラセボ投与群(MTX単独群)と比較して有意な改善を示しました。現在日本で承認されている経口抗リウマチ薬の中で、本剤は初めて国内の治験でMTX効果不十分の患者様に対してMTXへの上乗せ使用時の有効性を示しました。」

治験責任医師は新GCPに規定される事項を理解し,かつ当該治験のプロトコールを十分に理解していることが必要とされていますが,日刊薬業(2012年7月4日)によると,臨床試験の一部で治験医師がGCPを十分に理解せずGCP不適合があったとのことです.

「6月29日に承認された富山化学工業とエーザイの抗リウマチ薬イグラチモド(一般名、製品名「コルベット/ケアラム」)の臨床試験の一部で、治験医師がGCPを十分に理解せず、必要な記録や原資料が保存されていなかったことなどを理由にGCP不適合が指摘されていたことが、厚生労働省が公表した審査報告書から分かった。不適合症例を承認申請資料から削除するなどの措置が取られ、承認審査に支障はないと判断された。」

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-06 03:05 | 医療