横浜市立市民病院,排出用と経腸栄養用チューブを誤用,曲がったチューブが食道貫通で示談(報道)
「横浜市は13日、平成23年度に市が運営する市民病院(保土ケ谷区)や脳血管医療センター(磯子区)で起きた医療事故などの集計結果を発表した。市民病院で医療事故が1件発生。事故につながる恐れのあった「ヒヤリ・ハット事例」の数は両病院で22年度と比べ5件多い4308件だった。
市によると、市民病院で起きた医療事故は昨年6月22日に発生。呼吸器系の病気で入院した70代の男性の鼻から胃に挿入していた栄養を注入するための直径(外径)4・7ミリ、長さ122センチのポリ塩化ビニール製チューブを医師が取り出す際、チューブがひっかかり抜けなくなった。
内視鏡などで確認したところ、曲がったチューブが食道を貫通していた。男性は「胸が痛い」と不快感を訴え、同日から発熱があったという。同月28日にチューブを取り除いた。抗生剤による治療後、発熱は収まったが、男性は肺疾患の悪化で7月27日に同病院で死亡した。事故と死亡との因果関係はないという。
市の調査で、5月18日にチューブを男性に入れた際、胃から液を排出するためのチューブを誤って栄養を注入する目的で使っていたことが判明。排出用チューブの使用期限2週間も越えていた。また、同病院でチューブで栄養剤投与を受けている33人の患者のうち、1人に使われていたチューブが栄養用ではなく排出のためのものだったことも分かった。
病院は男性の家族に説明し謝罪。約1カ月入院期間が長引いたとして慰謝料を家族に支払い、示談が成立しているという。」
神奈川新聞「横浜市立市民病院で医療器具誤用して患者の食道に穴、「死亡との関係なし」(2012年7月13日)は,次のとおり報じています.
「横浜市立市民病院(保土ケ谷区岡沢町)で昨年6月、70代の男性患者の胃に入れる管の種類を間違え、管を引き抜く際、食道に穴を開ける医療事故を起こしていたことが13日、分かった。患者は肺の持病が悪化して昨年7月に死亡したが、同病院は事故との因果関係はないとしている。
同病院によると、患者は昨年4月に急性肺炎で入院。5月18日に栄養剤投与のため鼻から管を挿入し、6月22日に引き抜こうとしたところ、変形した管が食道に刺さった。炎症が治まるのを待って6月28日に管を抜いた。
管は直径4・7ミリメートル、長さ1・2メートルのプラスチック製。管には胃液などを採取する「排液用」と栄養剤を投与する「経腸栄養用」の2種類あり、本来は長期間入れられる経腸栄養用を使うところを、誤って短期間で使われる排液用にしたため、管が釣り針のように変形していたという。
担当した女性医師と看護師は2種類を使い分ける必要性を認識していなかった。別の診療科でも管の種類を間違えているケースが1件確認されたという。
同病院は「マニュアル作成や管を入れる袋の変更などで再発防止を図りたい」と話している。」
N-Gチューブ注入用胃管と排出用胃管があります.
長期間使用の経腸栄養用チューブと短期間使用の排液用チューブの違いがわかっていないのは,お粗末というしかありません.
【追記】
医療事故の再発防止に向けた提言 第6号「栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析」(2018年9月)参照
谷直樹
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