中日新聞社説「難病・ALS 命の介護になぜ差が…」
「日本ALS協会(本部・東京)や名古屋大の祖父江元・教授によると、ALSの国内患者は八千人余。全身の筋力が衰えて動かなくなっていく。進行がとても速い。発病者の半数が三~五年で自力呼吸もできなくなり死亡する。
人工呼吸器や胃ろうで延命はできる。「治療法がない今『生きたい』と必死の患者にしてあげられるのは『命をつなぐ』こと」「七割の患者は迷惑をかけるからと、自らの意思で呼吸器を拒む」。現場のそんな声に、暗然とする。
「それでも生きたい」-。そう決意した患者も、しかし、自力で動けない。昼夜を問わずタンの吸引をしないと窒息死する。公的介護の十分な支援を求める理由はそこにある。独り暮らしや老老介護の家庭ならなおさらだ。
ヘルパーの介護時間の決定権は市町村にある。障害者自立支援法と介護保険法を基に、独自の基準をつくる。病状の程度、家庭環境や介護力などから判断する。
ところが表向きと実態は違う。名古屋市は最大二十四時間を認めているが、同じ愛知県で半分に満たない市もある。東京都も二十三区ばらばら。どこも同じだ。「同行者が違うと、とたんに増えた」例もある。自治体の裁量で運用に差が出て公的介護といえるか。」
和歌山地裁平成24年4月25日判決は,老妻と二人暮らしの現状から1日最低21時間は必要の介護サービスが必要と判断しましたが,他の自治体においても,この判決の趣旨を尊重すべきでしょう.
さらに,国として,日本国憲法が保障する生存権を基本とする医療政策が求められていると言えるでしょう.
谷直樹
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