弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

川崎市,病院名確認のマニュアル守られず,病院間違え救急搬送遅れる

東京新聞「病院間違え救急搬送遅れ 宮前消防署 男性重体」(2012年7月26日 10時)は,次のとおり報じています.

「神奈川県川崎市は二十五日、宮前消防署の救急隊が、脳出血の無職男性(70)の患者の搬送先を誤り、本来運ぶべき病院へ搬送し直すミスがあったと発表した。患者は意識不明の重体で集中治療室(ICU)で現在治療中。同市によると、搬送先の病院長から「搬送の遅れで病状が大きく変化したことはない」との説明を受けたとしているが、今後、医師らでつくる「市メディカルコントロール協議会」で搬送ミスの影響を検証するという。

 宮前消防署の庄司茂署長らによると、一一九番通報を受けた救急隊は二十四日午後七時四十分ごろ、男性の自宅に到着。酸素投与などをした上、午後八時ごろ、隊長(37)が車載の携帯電話で搬送先の病院を探し、連絡を取って受け入れの了解を取った。ところが、十五分後に到着した横浜市内のA病院で「連絡を受けていない」と聞かされてミスに気付き、約十分かけて本来搬送するべきB病院に向かったという。

 隊長がA病院に連絡を取ったと思い込んでいた電話は、実は名前の一部が類似するB病院とつながっていた。発信履歴を使って電話をかけた際、ボタンを押し間違えたとみられる。A病院とB病院は三キロメートルしか離れていなかった。治療のための準備など時間がかかるため、B病院に搬送し直した方が早く治療に取りかかれると判断したという。

 同署では三年前にも携帯で連絡先を間違える搬送ミスがあり、再発を防ぐため、電話口で必ず病院名を再確認し、複数の隊員が電話の発信履歴をチェックするとのマニュアルをつくっていたが、生かせなかった。同署は、隊長らの厳正な処分を検討するという。庄司署長は「基本行動を怠り、搬送が遅れた。男性と家族には大変申し訳ないことをしました」と頭を下げた。」


救急の搬送間違い事故がときどき報道されています.
ほとんどが確認ミスで,確認するだけで防止できる事故なのです.
川崎市で確認が行われなかったのはおそらく今回だけではないかもしれませんし,そもそも確認ミスは川崎市だけではないのかもしれません.
今回のことを教訓として,マニュアル遵守の重要性を再確認いただくことを願います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-26 19:04 | 医療事故・医療裁判