弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

宮崎日日新聞社説,「喫煙率削減目標 禁煙促し国民全体で共有を」

宮崎日日新聞社説「喫煙率削減目標 禁煙促し国民全体で共有を」(2012年7月27日)は,次のとおり述べています.

「たばこが原因で、毎年多くの日本人が亡くなると推定されている。政府は、成人男女の平均喫煙率を現在の約20%から2022年度までに12%へ削減する数値目標を初めて政府の対策に組み込んだ。閣議決定した今後5年間の新しい「がん対策推進基本計画」と、13~22年度の国民健康づくり計画「健康日本21」に明記した。

 喫煙率削減目標を政府が掲げることは、日本も批准している世界保健機関(WHO)たばこ規制枠組み条約に沿うもので、画期的といえる。

■多くの疾病の原因に■

 厚生労働省は1999年と2006年、07年に喫煙率の半減目標を決めようとした。しかし売り上げ減少を懸念するたばこ業界が強く反発、たばこ事業を所管する財務省や国会議員らの反対もあり、そのたびに断念に追い込まれたいきさつがある。

 厚労省の国民健康・栄養調査では、禁煙を希望する喫煙者は4割。「希望者全員を禁煙させる」として、現状から4割削減の数値目標が算定された。「喫煙者たちの希望」という根拠を示したことが反対論を和らげたといえる。

 新しいがん対策推進基本計画では、受動喫煙にも初めて数値目標を示した。たばこを吸わないのに月1回以上受動喫煙にさらされる人の割合を22年度までに、飲食店で現在の50%から15%に、行政や医療機関ではゼロを目ざす。

 家庭で毎日受動喫煙させられる人は、現在の11%から10年間で3%まで下げる。また受動喫煙のない職場を実現するとした。

 たばこはがんの原因ともなり、心筋梗塞など多くの疾病をもたらすといわれる。健康を害する受動喫煙の危険も、禁煙すれば確実になくなる。喫煙率削減は国民全体で共有したい。

■まずは分煙を徹底■

 1990年代から航空機や鉄道、タクシーなど公共交通機関、劇場や競技場が徐々に禁煙になってきた。成人男性の喫煙率は60年代の80%以上から減り続け、今では40%を切った。それでも働き盛りの男性喫煙率は先進国の中で高い水準だ。

 たばこをやめたい人には禁煙治療という方法もあり、2006年から保険診療で受けられるようになった。薬局で買えるパッチやガムの禁煙補助薬もある。歯科でも受診できるようにするなど治療を充実するのが望ましく、健康診断の際に、医師らが喫煙者に禁煙を働き掛けることも有効だろう。

 しかし、たばこはやめたくても簡単にはやめられない。ニコチンへの依存度が強いからだ。ただ、喫煙者は一服の効果を求めており、たばこを吸わない人が喫煙者をあからさまに差別するような社会であってはならない。

 まずは分煙を徹底することが大切。そして、たばこをやめたいと願う喫煙者が少しでも多く禁煙する。そうすることで喫煙率削減の目標に近づけたい。」

タバコを憎んで,喫煙者を憎まず.健康を蝕む喫煙を止めたい,と思っている4割の喫煙者に喫煙を止めるよう支援することが重要です.また,喫煙を止めたいとすら思わない人たちは,強い依存症状がある人たちです.この人たちにも,依存性を脱してもらわねばなりませんが,容易なことではありません.
少なくとも,当面,喫煙しない人たちが受動喫煙の被害をうけないよう,徹底した分煙は絶対不可欠でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-27 20:46 | タバコ