NPO法人医薬ビジランスセンター,イレッサの毒性・本質的欠陥に関する意見書8通を公表
「『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No159」
意見書(8)は,次の5点を指摘しています.
第1に、効果を追求したのと同じ熱心さでイレッサの毒性を警戒しなければならない。
第2に、上記原則にそってEGFR阻害による腫瘍縮小可能性を予測するのと同じ合理的判断をすれば、EGFR阻害で肺虚脱、急性呼吸窮迫症候群、間質性肺炎など致死病変を生じうることは合理的に予測すべきであり可能であった。したがって、EGFR欠損マウスやイヌの肺虚脱死と同様、人の肺虚脱死、急性呼吸窮迫症候群なども含めて多数の死亡例(承認前の段階で30人超)が因果関係ありと合理的に認定できた。
第3に、腫瘍縮小効果があっても延命しない例は多数あり、現に、承認後に実施された試験で延命効果が証明されなかったために、米国でイレッサは2005年に新規患者への使用が中止となり、2012年には承認が取り消された。寿命短縮が証明されている。
第4に、日本で実施されたイレッサの3試験の開始初期では、イレッサ群死亡の3分の2がイレッサの毒性死と推定され、海外の試験も合わせると約3分の1がイレッサの毒性による死亡と推定された。これは市販前の第Ⅱ相までの臨床試験における、イレッサの使用終了30日以内の死亡例123人中の有害事象死34人(28%)よりも多く、治験時の有害事象死亡はもちろん、病勢進行死亡とされた中にもイレッサによる毒性死があったと推定され、間質性肺炎以外にも、肺血栓塞栓症や胸水・心嚢液貯留、出血などもイレッサによる害と考えられる。
第5に、上記のごとく、人の肺虚脱、急性呼吸窮迫症候群、間質性肺炎は、機序、EGFR欠損マウス、毒性試験、臨床試験、ランダム化比較試験などあらゆる結果が因果関係を強く示し、十分に予測可能であり、承認前の試験で観察された有害事象死の大部分が因果関係を合理的に説明できるものであった。したがって,イレッサの初期添付文書は、全く警告がなされていないにも等しいほどの欠陥添付文書であった。
谷直樹
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