高知新聞社説,「【受動喫煙対策】強い推進姿勢こそ重要だ」
「受動喫煙の健康被害は明らかなのに、防止対策を減速させるのか。
全ての事業者に職場の全面禁煙か分煙を義務付ける「労働安全衛生法改正案」について、民主党は「努力義務」に後退させる修正案を取りまとめた。全面禁煙、分煙の前段階として飲食店に義務付けていた換気設備の導入なども削除した。
法案成立には、飲食店やたばこ関連産業に配慮し、義務規定を断念する必要があると判断したという。政府が国会に提出中の改正案は事実上、骨抜きになる形だ。
日本は世界保健機関の「たばこ規制枠組み条約」を批准しており、世界的にも飲食店などでの喫煙を法律で禁止する国が増えている。政府も2010年、新成長戦略の一環として20年までに受動喫煙の職場をゼロにする目標を掲げたはずだ。
全面禁煙や分煙を行う事業所は増えているが、12年の調査で70%にとどまっている。これまでの経緯や現状を踏まえれば、与党の姿勢は及び腰とみられても仕方がないだろう。
国に先んじて、自治体が条例で公共的な施設での禁煙や分煙を義務化する動きもすでにある。
神奈川県は10年4月、罰則を設けてスタートさせたが、業界の反発から小規模飲食店やパチンコ店は規制の対象外となった。対策を取った飲食店では「女性や家族連れが増えた」「客の回転率が上がった」と評価の一方、喫煙者の客が多い店には、分煙のコスト負担や、「客足が遠のく」ことへの懸念が根強いようだ。
確かに、経営面に与える影響には十分に配慮する必要がある。民主党の修正案は、受動喫煙の防止に取り組む事業者には「国が必要な援助をする」との規定を盛り込んでいる。喫煙室の設置費用に対する助成や専門家による助言を想定しているという。
ならば、そうした支援で対策を促しながら、業種や規模によって段階的に義務化の対象を広げることもできよう。政府や与党が着実に対策を進める姿勢を示し、防止策の必要性を周知することこそが重要ではないか。
たばこを吸わない人には副流煙の健康被害はもちろん、臭い自体が鼻持ちならない存在だ。喫煙者の多くも周りに気兼ねすることなく一服を楽しめる方がいいだろう。双方にとって、快適な環境づくりを進めたい。」
労働安全衛生法改正案の後退は,受動喫煙被害を軽視するもので,明らかに不合理です.
谷直樹
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