弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

鹿児島地裁平成24年9月11日判決,肝属郡医師会立病院の直腸穿孔死亡事案で請求認容(報道)

鹿児島読売テレビ「医療ミス訴訟 肝属郡医師会側に賠償命令」(2012年9月11日)は,次のとおり報じています.

「2003年8月、直腸がんを患った男性(当時54)が肝属郡医師会立病院で手術を受けた際、執刀医による手術器具の操作ミスで腸を損傷し、その後、腹膜炎を起こし死亡したとして、男性の家族が、病院を運営する肝属郡医師会と執刀医に対し約5500万円の損害賠償を求めていた裁判。

11日の判決で鹿児島地裁は、「執刀医が不用意に器具を接触させて腸に穴が空いた。これに対する適切な処置を講じなかった」と執刀医の過失を認定。
執刀医の過失と男性の死亡には因果関係があるとして、医師会側に慰謝料など約3900万円の支払いを命じた。

判決を受けて男性の次女は、「11日は父の命日だったので、良い判決が出たと報告したい」と述べた。
一方、肝属郡医師会立病院の中村幸夫事務長は、「状況がまだ把握できていないので、今後、弁護士と相談したい」としている。」


私も同様の穿孔事案を担当していますので,判決が公刊されたら,よく読んでみたいと思います.

【追記】
毎日新聞「医療ミス:肝属郡医師会に3870万円支払い命令??地裁判決 /鹿児島」(2012年9月12日)は,次のとおり報じています.

「肝属郡医師会立病院(錦江町)で手術を受けた男性(当時53歳)が死亡したのは、医師が適切な処置を怠ったのが原因として、遺族が同医師会などを相手に損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁は11日、医師会側の過失を認め計約3870万円と年5%の遅延損害金の支払いを命じた。

 判決によると、同病院の医師(54)は03年8月27日、男性の直腸がん手術をした際、手術器具で腸管を傷付けて穴を開けたにもかかわらず、穴を縫合するなど適切な処置を行わなかったため、腹膜炎を発症させ死亡させた。

 久保田浩史裁判長は「合併症を起こす可能性は予見できた」と判断。病院側の「腸管の穴は手術中にできたものではない」との主張を退けた。【垂水友里香】」


毎日新聞「錦江の医療損賠訴訟:医師会側が控訴 手術後に死亡、遺族が訴訟」(2012年09月26日)は,次のとおり報じています.

「錦江町の肝属郡医師会立病院で03年、手術を受けた男性患者(当時53歳)が死亡したのは、医師の過失が原因として遺族が医師会などを相手に損害賠償を求めた訴訟で、医師会側は25日、医師の過失を認めた鹿児島地裁判決を不服として、福岡高裁宮崎支部に控訴した。

 1審判決は、03年8月、同病院で直腸がんの手術を受けた男性患者が死亡したのは「医師20+件(54)が手術器具で男性患者の腸管を傷つけ、腹膜炎を発症させたことが原因」と過失を認め、医師会側に計約3870万円の支払いを命じた。」


 高裁の判断がどうなるか,注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-12 00:54 | 医療事故・医療裁判