弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

看護師がフェイスブックに認知症の疑いで入院している患者の写真を投稿(報道)

読売新聞「看護師、交流サイトに入院患者の写真投稿…徳島」(2012年9月27日)は,次のとおり報じています.

「○○病院の20歳代の女性看護師が、認知症の疑いのある男性入院患者の症状をうかがわせる写真を、インターネットの交流サイト「フェイスブック」に掲載していたことがわかった。

 同僚とともに男性を中傷するかのような書き込みもしており、病院は「人権侵害があった」として、看護師と同僚の計4人を厳重注意処分としたが、事態を重くみて、改めて処分内容を検討している。

 病院によると、看護師は23日の勤務中、ナースステーションで70歳代の男性の後ろ姿を撮影した写真を、自分のページに「ちょっと目を離した隙に」との書き込みを添えて投稿した。

 患者の特定や病院名などの記載はなかったが、同僚や友人ら約40人が閲覧できる状態だったといい、内容を見た同僚3人も一緒に楽しんでいるかのような文言を書き込んでいた。

 24日に匿名の電話で「看護師としてあるまじき行為ではないか」と病院に指摘があり、発覚。看護師は同日、内容を削除した。病院の聞き取りに「仲間うちだけでやり取りをするつもりで、軽い気持ちで投稿してしまった」と反省していたという。

 同病院は26日、副町長や事務長らが対応策を協議。勤務中の携帯電話の取り扱いは各自に任せていたが、今後、何らかの規制をする方向で検討することにした。事務長は「職務違反であるのは明らかで申し訳ない。今後、信頼回復に努めたい」としている。また、今回の問題を受け、県は近く約1100の医療機関に対し、個人情報の適正な取り扱いを求める通知を送るという。

 一方、認知症の人と家族の会県支部の大下直樹代表世話人は「看護師が患者に無断で情報を掲載するなど、あってはならない」とし、再発防止を求める申し入れなどを検討する。

 園田寿・甲南大法科大学院教授(情報法)の話「仮に仲間内でのやりとりであっても、個人を中傷する内容を公開していれば、名誉毀損(きそん)に問われる可能性がある行為だ。近年、患者の尊厳を守る医療行為が、特に求められるようになっている。各医療機関は研修会などを通じ、改めて医療従事者に意識の徹底を促していかなければならない」(川本修司、山上高弘)」


本件は,看護師個人の責任にとどまらず,町の使用者責任が発生する可能性があります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-27 12:44 | 医療事故・医療裁判