弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

茨城県の病院のロス手術事件,水戸地裁で和解成立(報道)

読売新聞「ロス手術訴訟和解「病院謝罪、良かった」」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「「医療ミス」は合意できなかったが、病院側は「(医師の説明に)誤解を招くような説明があった」と謝罪した――。○○病院で難度の高い心臓のロス手術を受けて死亡した鉾田市上沢の高校3年、石津圭一郎さん(当時18歳)の両親が、病院を運営する○○会と執刀医を相手取って計約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟。25日に和解が成立し、両親は「結果はどうあれ、病院が謝罪をしてくれて良かった」と涙をこらえた。

 圭一郎さんは2004年7月、ロス手術を受けたが、2日後に死亡。両親は「死亡したのは執刀医のミスが原因」などとして、06年に提訴した。県警は業務上過失致死容疑で執刀医を書類送検したが、09年に不起訴(嫌疑不十分)となった。

 訴訟では、手術前、原告側が執刀医から「海外で20~30例を行っている」などと説明したと主張し、○○会、執刀医は「20~30例のロス手術の術後管理を行ったことがある」と説明したと反論していた。

 双方の弁護士によると、和解条項では、済生会、執刀医ともに「誤解を招くような説明だった」と認めた。原告側が主張した医療ミスは認められなかった。○○会は原告側に謝罪し、執刀医は「遺憾の意を表明する」とした。

 和解成立を受けて、母の百美子さん(54)は「ずっと(ロス手術を選択した)自分たちが悪いと思っていたが、そうではなかったと、少し思えた」と涙ぐんだ。圭一郎さんが亡くなって8年。父の洋さん(57)は「『謝罪してもらったぞ』と報告したい」と話した。

 被告側の代理人は「手術自体にミスはないと認められた」とし、病院は「詳細な和解内容を聞いていないのでコメントは控える」とした。」


MSN産経「ロス手術」訴訟で和解 病院側が500万円支払い 高3心臓手術後に死亡」(2012年9月26日)は,次のとおり報じています.

「○○病院で2004年7月、茨城県鉾田市の高校3年、石津圭一郎さん=当時(18)=が難度の高い「ロス手術」と呼ばれる心臓手術後に死亡したのは医療ミスなどとして、両親が病院運営法人や執刀医に損害賠償を求めた訴訟は26日までに、水戸地裁(脇博人裁判長)で和解が成立した。

 双方の代理人によると、病院側は医療ミスを認めなかったが、手術前の説明に誤解を招く表現があったとして、両親に計500万円を支払うことで合意し、謝罪した。石津さんは心臓の弁が正常に閉まらない「先天性大動脈弁閉鎖不全症」と診断され、肺動脈弁を心臓に移植するロス手術を受けたが2日後に多臓器不全のため死亡した。

 訴状などによると、両親は執刀医が手術前に「自分は海外でロス手術を20~30例行っている」と説明したと主張。病院側は「20~30例は手術助手や術後管理に携わった数だ」と反論していた。」


これは,私が担当した事件ではありません.
大動脈弁置換術は,普通,人工弁を使いますが,ロス手術は,患者の肺動脈弁を使う特殊複雑な方法です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-28 05:16 | 医療事故・医療裁判