弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ベンゾジアゼピン系薬の認知症リスクは5年で1.60倍(仏研究)Benzodiazepine use and risk of dementia

ボルドー第2大学のAntoine Pariente准教授らは、9月27日付の英医学誌「BMJ」(電子版)に 「Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study」を発表しました.65歳以上の「PAQUID」(フランス南西部ジロンド県およびドルドーニュ県の住民)を対象に追跡調査した結果,追跡後5年で認知症リスクが1.60倍,過去に服用していた人でも認知症リスクが1.56倍,という内容です.

あなたの健康百科「睡眠薬や抗不安薬で高齢者の認知症リスク上昇 仏研究」(2012年10月4日)は,次のとおり伝えました.

「追跡から5年の時点で認知症を発症していたのは、服用群は29人、非服用群は211人。年齢や性別、教育期間、他の薬剤服用、登録時から3年後の認知機能テスト(MMSE)のスコア低下で補正した結果、非服用群に対する服用群の認知症リスクは1.60倍だった。これは、抑うつ症状で補正してもリスクは1.62倍と高いままだったという。

 さらに、登録から8年、10年、13年、15年の各時点の評価を含めた解析でも認知症リスクは1.46倍、登録から8年目以降に認知症と診断された467人と認知症でない1,810人を比べた研究でも、ベンゾジアゼピン系薬を常用していた人の認知症リスクは1.55倍だった。特に注目されるのは、過去に服用していた人でもリスクが1.56倍だった点だ。

 以上のように、ベンゾジアゼピン系薬服用前の認知症の前段階症状などを除外しても、認知症発症に関連していたことなどから、Pariente氏らは同薬が無差別に拡大処方されるべきでないとして注意を促した。」


ベンゾジアゼピン系薬はGABAA受容体と結合し,チャネルの(開口時間ではなく)開口頻度を増加させます.
睡眠薬のほとんどがベンゾジアゼピン系です.
超短時間型は,トリアゾラム(ハルシオン),ゾビクロン(アモバン),酒石酸ゾルピデム(マイスリー),短時間型は,ブロチゾラム(レンドルミン),エチゾラム(デパス),リルマザボン(リスミー),ロラネタゼパム(ロラメット)中間型は,フルニトラゼパム(サイレース),ニトラゼパム(ベンザリン),ニメタゼパム(エリミン),エスタゾラム(ユーロジン),長時間型は,フルラゼパム(ベノジール),ハロキサゾラム(ソメリン)などです.
抗不安薬,抗てんかん薬としても使用されています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-13 20:59 | 医療