「病理検査結果報告書の確認忘れ」医療安全情報 No.71
病理検査結果の報告書を確認しなかったことにより治療が遅れた事例が8件報告されている,とのことです.
「事 例 1
患者は他疾患の経過観察のCT検査で子宮・卵巣病変を疑われ、産婦人科を受診した。産婦人科医師の診察では超音波検査で複数個の子宮筋腫を認めるものの明らかな悪性所見を認めず、子宮頸部細胞診を施行し、異常があれば連絡することになっていた。1年半後、PET-CTで骨盤内に集積を認め、再度産婦人科を受診し、腟内の細胞診を施行した。患者の診察終了後、医師は1年半前に施行した子宮頸部細胞診で異常(クラスV、扁平上皮がん)の病理診断報告書を確認していないことに気付いた。
事 例 2
通院中の患者が、胃検診で要精査の通知を持参した。医師は内視鏡検査を行い、病変部を生検し、次回の予約を入れた。その後、病理診断報告書が出ていたが、患者が来院しなかったため、カルテを一度も開くことがなく経過した。2年後、患者は胃検診の結果が再度要精査であったため、受診した。その際、医師は2年前の病理診断報告書で「悪性」の所見が出ていたことに気付いた。
事例が発生した医療機関の取り組み
・病理診断結果の内容の確認ができる仕組みと、患者への説明が確実になされる仕組みを構築する。
総合評価部会の意見
・重大な結果については、直接医師に連絡する仕組みを検討しましょう。」
病理検査結果の報告書を確認しなかったことは,医師としての注意義務違反にあたるでしょう.それが8件も起きているのです.
病理検査の結果を患者に説明するためには,医師は,病理検査結果の報告書を読む必要がありますので,患者への説明を確実に行うシステムを作る,というのも一つの対策です.
また,病理の側からも,重大な結果について連絡するようになれば,事故を防止することができるでしょう.
谷直樹
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