弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

シンポジウム「いま、尊厳死法制化を問う」

シンポジウム「いま、尊厳死法制化を問う」(日本宗教連盟主催)の模様を,CBニュース「「尊厳死法制化を問う」、都内でシンポ開催」(2012年10月16日)が報じています.


◆ 日本尊厳死協会副理事長の医師長尾和宏氏

「終末期医療は、各医学会のガイドラインと法的担保の両輪でやるべきだ」
「(現行法では)家族が殺人ほう助罪で逮捕されるかもしれない」
「(終末期は)誰も定義できないと思うが、臨終期というのはある。数日、せいぜい1か月、2か月しか分からない」
「医師にも間違いはある。そこを2人で担保する」


◆ 慶應義塾大学看護医療学部教授の加藤眞三氏

「患者中心の医療を実現するためには、医療の情報提供が何よりも大事だ」
法制化については、「医療者を免責することに目的がある。患者さんのためではない」
「医療はすべてが延命行為だが、それを『無駄だ』と思った時に延命措置と呼ぶ。言葉を使う人の価値観が入っている」
「(医師が)植物状態になると思っても、回復する場合もある」


このお二人の御発言に,推進派の意見,反対派の意見が,端的にわかりやすく示されていると思います.

患者には,十分な情報提供と分かりやすい説明を受け,理解した上で,自由な意思に基づき自己の受ける医療に同意し,選択し,拒否する権利(自己決定権)があります.
終末期の医療においては,とくに,患者本人の自由な意思に基づく自己決定であることを担保することが必要です.ところが,そのための手続,システムが未だに整備されていません.尊厳死法制化は早計に過ぎるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-17 01:51 | 医療