日本感染症学会第61回東日本地方会学術集会,新型インフルエンザ特措法の問題点を議論
日本感染症学会第61回東日本地方会学術集会で,「“新型”インフルエンザからいかに国民を守るか~新型特措法の問題を含めて~」が議論されました.座長は,渡辺彰氏(東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門)と菅谷憲夫氏(警友会横浜けいゆう病院小児科)です.
日経メディカル「感染症学会、新型インフルエンザ特措法の問題点を議論」(2012年10月13日)は,次のとおり伝えました.
「日本感染症学会は10月12日、第61回東日本地方会学術集会において緊急討論を開催した。テーマは、今年5月に公布となった「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の問題点。参加者からは、鳥インフルエンザH5N1ウイルスのパンデミック化を過大評価している、H5N1亜型については現時点で世界中の感染症の専門家らはパンデミックの最有力候補とは見ていない、新感染症とインフルエンザへの対応が整理されていない、プレパンデミックワクチン接種が既成事実化している、などの手厳しい指摘が相次いだ。
討論会ではまず、渡辺氏が論点整理を行った。それらは11項目に集約された。
1.この法律は“新型”インフルエンザが対象か?
2.そもそも“新型”インフルエンザとは何か? H5N1亜型なのか?
3.H5N1亜型が本当にパンデミックを起こすのか?
4.“新型”であれ、死亡が64万人などということは起こり得るのか?
5.季節性インフルエンザ以下なら発動しないとあるが、発生後直ちに見極められるのか? また、その基準はどのようなものなのか?
6.検疫(同法第29、30条)は必要なのか? 有効なのか?
7.臨時の医療施設の開設(同法48、49条)とは「発熱外来」のことか?
8.外出禁止や集会禁止(同45条)で果たして流行を抑えられるのか?
9.インフルエンザで、電気やガス、水道が使えなくなるのか(同52条)?
10.ワクチン対策(同46条)で、プレパンデミックワクチンは有効か? 安全か?
11.流行の第一波では、抗インフルエンザ薬の早期投与が根本的対策ではないのか?」
日経メディカルには,専門家の次の意見が紹介されています.
・「鳥インフルエンザH5N1ウイルスのパンデミック化を過大評価しているのではないか」
・「H5N1亜型については現時点で世界中の感染症の専門家らはパンデミックの最有力候補とは見ていない」
・「プレパンデミックワクチン接種が既成事実化しているのは倫理的にも問題」
・「新感染症とインフルエンザへの対応がごちゃごちゃになっていて、きちっと整理されていないことが最も大きな問題」
日本感染症学会としての意見表明に期待します.
谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
↓

にほんブログ村