福岡地裁小倉支部平成24年10月18日判決,看護師が離れた歩行中転倒事故で敬天会東和病院に賠償命令(報道)
「小倉南区の東和病院に入院していた男性(当時85歳)が転倒して脳に後遺症が残ったとして、男性の遺族が病院を運営する医療法人「敬天会」に約3300万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁小倉支部(岡田健裁判長)は18日、病院の過失を認め、約2000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、男性は07年11月、腰の骨を折り、リハビリのために入院。院内で歩行中、付き添いの看護師が一時的に離れた間に転倒、頭を打った。その後の検査で、脳内出血と判明し、08年3月に死亡するまで寝たきり状態となった。岡田裁判長は「病院側は男性が転倒する危険を予見できた」と認定した。」
本件患者は,腰の骨を折りリハビリのために入院している85歳男性です.このような患者が歩行中に転倒することは,普通の看護師であれば,当然,予見可能でしょう.
したがって,この患者が歩行中に,看護師が一時的でもこの患者から離れたことは,注意義務違反にあたります.
東京高裁平成15年9月29日判決(判例時報1843号69頁)は,多発性脳梗塞の72歳女性の患者で,軽度ではありますが左上下肢の片麻痺があった事案で,転倒等によって外傷を負う危険性があったことから,その患者がトイレで用を済ませて病室まで戻るのに,看護師が同行しなかったことを注意義務違反と認定しました.
本判決は,この東京高裁平成15年9月29日判決の考え方を踏襲するもので,適切と言えるでしょう.
谷直樹
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