弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

フジテレビ「とくダネ!」医療事故隠しを伝える

フジテレビ「とくダネ!」で,江戸川区の病院の事件が取り上げられました.実は「とくダネ!」には早い時期に別に内部告発があり,1年近くも取材していたそうです.

JCAST「医療ミス「認めぬ○○病院、逃げ回る医師」内部告発で火葬直前に警察解剖」(2012年10月25日)は,次のとおり伝えています.

カテーテル抜去数分後に倒れ死去―執刀医は「よくあること」

死亡したのは60代の男性で、重度の腎不全で昨年10月29日に妹をドナーに腎移植手術を受けた。11月3日に医師がカテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり7日に死亡した。家族によると、手術の経過はよく、男性がベッドに座って家族と話をしていたとき、執刀の医師が来て首についていた透析カテーテルを抜いた。男性はその数分後に倒れ込み、心臓マッサージなどをしたが回復しなかった。医師は家族に「よくあること」といっていたという。

死亡診断書には「肺梗塞」とあったが、原因は空欄だった。遺族は患者の最後の様子から「医療ミスではないか」と主治医に聞いたが、「医療事故なんかじゃありません」と否定され、そのまま解剖もせず火葬に回された。

ところがその直前、匿名で「医療事故です。いますぐ警察に司法解剖を依頼してください」と遺族に通報があって、火葬を中止して警察に知らせた。解剖の結果は肺動脈空気塞栓症。血管に空気が入って毛細血管に達すると、血流が止まり肺組織が壊死する。これが「肺梗塞」で病院の死因と同じだったが、解剖では原因は「カテーテルの抜去」とされた。」

専門家によると、カテーテルは太いので空気の流入を避けるため、通常は座ったままでは行なわないという。医療ミスが疑われるケースだが、取材に病院は一切答えなかった。主治医も答えず、いまは鹿児島にいる執刀の医師(カテーテルを抜いた)も電話に「不適切ではなかった」とだけしかいわない。」


透析カテーテルを座位で抜去→血管に空気が入り血流が止まり肺組織が壊死(肺梗塞)→死亡,という事態になったのです.これを,「よくあること」,「医療事故なんかじゃありません」,「不適切ではなかった」という医師はどうなんでしょう.

○○病院は,院内での密告者探しが行なわれて,電子カルテを開いた記録を洗ったりした,」とのことです.

司会の小倉智昭氏と療ジャーナリストの伊藤隼也氏は,次のとおりコメントしました.

「小倉氏 「カテーテルの抜き方に問題があったわけですよね」
伊藤氏「重力がありますから寝かして慎重に抜くのが基本。委員会も構成メンバーに問題があったり、当の医師が出て来ていないとか。守秘義務を振りかざしたりもしている」
小倉氏「しかも(内部告発の)犯人探しをしてる」
伊藤氏「ミスを認めて改善するという常識がない。告発の電話がなければ、お葬式して終わりだった」」


表面化していないだけで,このような医療事故がさらに隠れている可能性を感じます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-26 03:13 | 医療事故・医療裁判