弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

GARFIELDの解析,管理不十分な抗凝固治療で心房細動患者のリスク増大

GARFIELD(the Global Anticoagulant Registry in the FIELD)は,心房細動患者55000例を登録し観察する,世界規模の前向きコホート研究です.日本の施設も参加しています.

Heart Association Scientific Sessions(米国心臓病協会学術集会)でのGARFIELDの解析報告によると,ビタミンK拮抗剤(ワーファリン)のガイドラインでの推奨と臨床医療の実際の管理状況との間のギャップがあること,および抗凝固治療で不十分な管理を受けた患者の死亡率が高いこと等が伝えられています.
ワーファリンを投薬しながら,PT-INRを適切にコントロールしていない例が少なくないという報告は重大です.

共同通信PRワイヤー「管理不十分な抗凝固治療で心房細動患者のリスク増大」(2012年11月8日)は,次のとおり,伝えています.

「観察された9971人の患者のうち5724人(57%)だけがビタミンK拮抗剤(VKA)による治療を受けた。これらの患者のうち57%は効果的な治療を受けず、血液が凝固するまでの時間を測定する国際正常化率(INR)の管理が不十分だった。」
「VKA治療を受けた患者の間では効果的な抗凝固治療管理を受けた患者と不十分な管理を受けた患者の結果は年間の死亡率が0.86%対1,72%、年間の脳卒中/SE発症率が0.86%対1.34%だった。」

「 ハーバード・メディカル・スクール内科教授、ブリガム女性病院上級スタッフ心臓専門医で、GARFIELD運営委員会メンバーであるサムエル・Z・ゴールドへーバー博士は「死亡率とSFからの脳卒中率の高さがこの現実生活コホートで強調されている。GARFIELDは抗凝固治療のガイドラインと現実の臨床行為の間にはおおきなギャップが残っているというメッセージをわれわれに提供している。難しいのは臨床医の教育、AF患者の脳卒中を予防する実証済みの手段の実行に対するわれわれの努力を倍増することである」と語っている。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-09 03:22 | 医療