大阪高裁平成24年11月15日判決(山本病院事件),業務上過失致死罪で禁錮2年4月(報道)
当時の理事長兼院長医師の被告人が,「肝臓がんということにして手術をしようや。もうかるで」と,他の医師を誘い,肝臓がんではない男性(当時51歳)を肝臓がんということにして,2006年6月,2人で手術を行い,男性が死亡したという事案で,大阪高裁は控訴を棄却し,一審どおり禁錮2年4月としました.
朝日新聞「奈良・大和郡山の手術患者死亡、二審も実刑 大阪高裁」(2012年11月15日)は,次のとおり報じています.
「奈良県大和郡山市の山本病院で起きた手術患者の死亡事故で、業務上過失致死罪に問われた運営法人「雄山(ゆうざん)会」(破産)元理事長で執刀医の××××被告(55)の控訴審判決が15日、大阪高裁であった。的場純男裁判長は「十分な人員態勢で手術する注意義務を怠り、医療への信頼を傷つけた」と判断。禁錮2年4カ月(求刑禁錮3年)の一審判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
判決によると、××被告は2006年6月、男性患者(当時51)の肝腫瘍(しゅよう)の治療で、手術がいらない肝血管腫を肝臓がんと誤診。大量出血の危険性があるのに専門医を立ち会わせずに手術し、患者を死亡させた。
弁護側は「手術と死亡の因果関係はない」と主張したが、的場裁判長は主張を裏付ける具体的な証拠がないとして退けた。」
医療界には,医師を業務上過失致死罪に問うことについて強硬な反対意見もありますが,(もちろん何でも刑事事件にするということになれば問題ですが)本件のような事案についてまで刑事責任を問えないということになると,きわめて理不尽なことになると思います.
谷直樹
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